07

着替えを終えた私がまず最初にやってきたのは、このお屋敷の裏庭だった。

前回来た時とはまた違う花たちが綺麗に咲いていて、素人目に見てもよく手入れされているのが分かる。

少し離れたところに緋翠と白恵、執事服を着た悠冬君がいるのが見えて。

悠冬君の青い瞳が私たちを見付けると、パッと顔を綻ばせた。

「あっ、ユイお嬢様! こっちですよー!」

悠冬君、君もか! と思わずツッコミたくなるのをなんとか飲み込む。

もしかしてフユカのとこのメンバー、みんな使用人の役回りなんじゃ……?

「お、お待たせー……」

「わぁ。きれーだよ、ユイちゃん」

「……」

白恵がトコトコと近付いてきて私を見上げ、素直な感想をくれる。

え……なんで緋翠は私を見て黙ってるの、固まってるの。

「ひ、緋翠……? どうかし」

「とても良くお似合いですマスター!!」

今までで1度も聞いたことの無いような大声が聞こえたと思ったら、突然目の前に現れた緋翠の顔。

紅い瞳をキラキラさせて、これまた見たことの無いくらいの満面の笑みだった。

「普段のお洋服もとても似合っていますが、シンプルかつ上品でありながら可愛らしさのある衣装……。
マスターの愛らしいお顔をよく引き立てています!
あぁ、マスターのこんなにも麗しいお姿を見られようとは……。フユカ様、ありがとうございます……!」

「フユカちゃん、ユイちゃんをかわいくしてくれてありがとー」

普段から礼儀正しい緋翠がここまで大絶賛するなんて。

感動のあまりフユカの両手を思いっ切り握ってるけど……勢いがちょっと怖いよ。

「恐縮でございます。緋翠様も白恵坊っちゃまも、よろしければティータイムはいかがですか?」

「ぼく、ぼっちゃまになっちゃったー」

「では紅茶は私が……」

「いえ、緋翠様のお手は煩わせません。
全て私どもがご用意いたしますので、貴方様もどうかごゆるりと。
悠冬、皆様に紅茶とお菓子をお持ちして」

「はーい」

お屋敷の中に戻っていく悠冬君を見送って、私たちは東屋へ移動する。

テーブルに着こうとした時、フユカが調度良いタイミングで椅子を動かしてくれた。


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