02
「と、いう訳なんだけど……」
時間は過ぎて、夕飯時。
私はみんなにお兄ちゃんから貰ったチケットのことを話した。
"たまには息抜きも良い"とみんな賛成してくれて、それは良いんだけど……貰ったチケットは2枚しかない。
だから必然的に、私かナオトのどちらかが諦めるしかなくなってくる。
流石にメイちゃんにお留守番を頼むのは気が引けるし……。
「遊園地に行きたいメンバーと、留守番を頼まれてくれるメンバーとに分かれるしかないか……。
僕は留守番組で残るよ。メイのことは頼めるかい、レイナ?」
「えーっ!? みんなで行きたかったー!」
「ワガママ言うんじゃねぇ、笑理の小娘。チケットが足りねぇ以上は仕方ねぇだろ」
"ぶーぅ"と言いながら笑理が頬を膨らませていたけれど、”じゃあお土産いーっぱい買ってくる!"と気持ちを切り替えてくれたみたいだ。
私もできるならみんなで行きたかったけど……。銀嶺の言う通り、こればっかりは仕方ないしね。
「じゃあメイちゃん、遊園地には私と一緒に……」
"行こうか"と言おうとしたところで、テレビ電話の着信音が鳴る。
こんな時間に誰だろうと思いつつ通話ボタンを押すと、画面にヒカリちゃんが映った。
「あっ、レイナさん! こんばんは!」
「こんばんは、ヒカリちゃん。こんな時間にどうしたの?」
「メイちゃんはいますか?」
「え? もちろんいるけど……ちょっと待ってて。
メイちゃーん、ヒカリちゃんから電話だよ」
"はーい!"と言いながらテレビ電話にでたメイちゃんと、入れ替わるようにリビングへ戻る。
旅行組と留守番組のどちらに入るかの話し合いをしていると、パタパタと足音を立ててメイちゃんが戻ってきた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
「どうしたんだ、メイ? そんなにはしゃいで……」
「今度コウキ君のお家でお泊まり会するんだって! メイ、そっちに行って良い?」
「えっ? でもメイちゃん、遊園地は良いの?
シンオウから遠い場所だし、次いつ行けるか分からないよ?」
「大丈夫! ヒカリちゃんたちと遊ぶの、楽しいよ」
気を遣わせちゃったのかなと思ったけど……。
メイちゃんの表情を見る限り、そんなことはないみたいだ。青刃も"心からそう思っているようですね"って言ってるし。
「良いじゃねぇか、ナオト。歳の近いヤツと遊ぶのが楽しいんだろうぜ」
確かに、私たちのメンバーの中でメイちゃんと歳の近い子と言えば笑理くらいだ。
その次に近いのは來夢だけど、ヒカリちゃんたちよりは(見た目は)年上だもんね。
「そうだな……。メイとヒカリちゃんたちがそれで良いなら」
「やったー! もっかいヒカリちゃんに電話してくる!」
「あっ、待ってくれメイ! 僕もご挨拶を!」
勢い良くテレビ電話へ走っていくメイちゃんの後を、ナオトが慌てて追いかける。
ドタドタバタバタと廊下に響く足音を聞きながら、私たちは顔を見合わせて笑った。
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