03
"フユカ、久しぶり!"
"よっ、元気にしてるか?"
「ユイに紅眞君! 久しぶりだね!」
テレビ電話の前に立って保留ボタンを押す。
画面に映り込んだのは、ユイと紅眞君だった。
シンオウ地方は夜の時間らしく、窓の外に月が浮かんでいるのが画面越しに見える。
「でも、どうしてレオンハルト邸にいるって分かったの?」
"最初はプラターヌ研究所に掛けようとしたんだけど、白恵が"おやしきのほうがいいよ"って。
それよりフユカ、今度の週末って予定ある?"
白恵君の運の良さに改めて驚きつつ、頭の中でスケジュールを思い出す。
特に何も無いことを伝えると、画面の向こうのユイが"良かったぁ"と笑った。
"あのさ、私たちと一緒にガラル行かない?"
「えっ、ガラルって……ガラル地方のこと?」
"おぅ、そのガラルだぜ。
今日デパートの福引で、旅行券を引き当ててさ"
"3枚セットで貰ったから、一緒にどうかなって"
「誘ってくれてありがとう。ユイたちさえ良いなら行きたい!」
"アハハ、フユカならそう言ってくれるって思ってた!"
"けどユイ、あとの1枚はどうするんだ?"
"んー……もったいない気はするけど、仕方ないね"
紅眞君の言葉を聞いて、ユイは困ったように笑った。
そっか。貰った旅行券は3枚だから、どうしても1枚余っちゃうんだ。
……おや? これはもしかして、千載一遇のチャンスなのでは?
「ねぇユイ。その最後の1枚、キープしてもらっても良い?」
私のその言葉に、海色の瞳が不思議そうにパチパチと瞬いた。
"私は良いけど……どうするの?"
「実は、ユイたちに紹介したい子がいるんだ。
その子も誘って良いかな?」
"うん、そういうことならもちろん!
今回を逃すと捨てるしかなくなるから、助かるよ"
「決まりだね! 飛行機の予約はこっちに任せて」
目的地と時間をしっかりメモして、急いで食堂に戻る。
シャルルさんとクロエさん、偶然居合わせたエルザさんに事情を話した。
エルザさんはシャーリーの仕事を休みにすると約束してくれて、飛行機の手配もしてくれることになった。
緑炎たちにも話を通した後、私は早速シャーリーを探しに行った。
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