02
(シャーリーの友達を増やす、かぁ……)
私も彼らの案には賛成だし、同年代の子と交流を深めるのは良いことだと思う。
だから初めはセレナちゃんたちに声を掛けようとしたけど、そもそもあの子たちの連絡先を知らなかったよ。私のバカ。
(どんな小さなことでも良い。何かヒントになりそうな……ん?)
裏庭に出ると、ベンチに腰掛けている2つの影を見つけた。
あれは……ソフィアさんとペロリームだ。そういえば今、休憩時間なんだっけ。
隣合って真剣な顔をしている彼女の手には、何かの雑誌が握られている。
どんな雑誌なのか少し気になったので、彼女に声を掛けてみることにした。
「ソフィアさん、何を読んでるんですか?」
「ひゃあっ!? 申し分けありません、すぐお仕事に戻りますのでぇ!」
悲鳴を上げたかと思ったら、すごい勢いで頭を下げて捲し立てる彼女をペロリームが宥める。
パッチリとした翡翠色の目が合うと、"あっ、フユカ様でしたかぁ……"と安堵の息を零した。
「申し訳ございません。お見苦しいところをお見せしましたぁ……」
「いえ、私もいきなり声掛けちゃってすみません!
ところで、何を読んでたんですか?」
「気になりますか? ではフユカ様には特別に。
誰にも内緒ですよ?」
そう言ってソフィアさんが見せてくれたのは、スイーツの雑誌だった。
ポップなフォントで"ガラル地方・カフェスイーツ特集"と大きく書かれたタイトルの下に、彩り華やかな写真が載っている。
ペロリームが彼女の隣で、"僕も食べてみたいなぁ"って目をウットリさせていた。
「わぁ、綺麗だし美味しそう!
ソフィアさんってお菓子作りが得意ですもんね」
「はい。洋菓子に和菓子……どちらも好きなんですけど、ケーキには特に目が無くて」
ガラル地方かぁ。前にレイナと一緒に行ったなぁ。
そうだ! シャーリーを誘って、ガラルに旅行とか良いかも!
現地で新しい友達ができるかもしれないし!
ソフィアさん・ペロリームと別れ、シャーリーを探して歩く。
するとジョゼフさんが私宛に電話が来ていると言うので、ひとまず先にそっちに向かうことにした。
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