08

「紫闇、ナイトバースト!」

「碧雅、冷凍ビーム!」



バトルの結果は、私たちの勝利。

男2人組はどこからともなく現れたジュンサーさんに連行されていった。

璃珀が通報してくれたみたいなんだけど……いつの間にやってたんだろう。

『マスター、おケガはありませんか!?』

「大丈夫だよ。ありがとうね、緋翠」

『ハル! どこもケガはしておらぬな!?』

「うん、大丈夫。何ともないよ」

私たちを心配してくれる緋翠と翠姫ちゃんをそれぞれ宥めていると、色んな方向から視線を感じた。

でもそれは嫌なものではなく、好奇心を含んだようなものだ。

『……チッ、やっぱこの姿だと目立つな。俺はボールに戻るぞ』

言うやいなや、紫闇君は自分からモンスターボールに戻っていった。

ハルはそのボールを優しく撫で、"ありがとうね、紫闇"と呟く。

どこの地方でも、やっぱり色違いの子って珍しいんだなぁ。

ハルが居心地悪そうにしていたので、人気の少ないところに移動した。



「それにしても本当に無事で良かったよ!
どこもケガしてないんだよね?」

「ケガなんてしてないし、助けてなんて言った覚えもない。
……他人のトラブルに自分から首突っ込むなんてバカなの?」

「友達があんな危ない人たちに絡まれてたら心配にもなるし、助けたくなるよ」

ハルが"友達……?"と呟く。その目は酷く困惑しているように見えた。

本人が何と言おうと、私にとっての彼女はもう友達なんだ。

それに例え初対面の相手だったとしても、私は同じことをしただろう。

「お前がとんだ物好きだってことは分かったよ。でもまぁ……助かった」

「……! うん、私も助けられて良かった!」

「……フッ」

(あっ、今笑った……!)

ほんの一瞬のことだったけど、確かにハルは笑っていた。

でも次の瞬間には憂いを帯びた表情に戻ってしまう。

『む? そなた……ユイではないか!
ハルを助けてくれたこと、礼を言うぞ』

「フフッ、どういたしまして」

私にニッコリと笑顔を向けてくれる翠姫ちゃん。可愛いし癒されるぅ。

あ、そういえばハルたちにもみんなを紹介しなきゃ!

紅眞、晶、白恵の入ったモンスターボールを投げ、外に出してあげる。

それを見たハルも、紫闇君をボールから出した。

す、すごく睨まれてるのは気のせいだと思いたいけど……実際睨んでるんだろうな。

「ご主人、彼女たちがさっき言っていた友達かい?」

「うん、そうだよ!
ハルとツタージャの翠姫ちゃん、ゾロアークの紫闇君だって」

みんなにハルたちのことを紹介すると、璃珀がスッと前に出る。

警戒の色を濃くした彼女に、璃珀は紳士的に話し掛けた。


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