07
細めの道を抜けて大通りに出る。
すると男の人2人組に絡まれているハルを見つけた。
ハルは腕を掴まれて身動きが取れないみたい。助けなきゃ!
「緋翠、サイコキネシスで男の人の動きを封じて!」
『お任せください、マスター!』
緋翠が瞬時に擬人化を解き、サイコキネシスで男2人組の動きを封じる。
その隙にハルの手を引いて距離を取ることに成功した。
「ハル、大丈夫!? ケガしてない!?」
「お前……! どうしてここが分かったの」
「怒鳴り合ってる声が聞こえたから、心配で……。
大事になる前に助けられて良かった。緋翠、もう良いよ」
緋翠がサイコキネシスを解除し、男2人組がゼェゼェと肩で息をする。
ついと上げられた顔が、私たちを捉えた。
「チッ、邪魔すんじゃねぇよ嬢ちゃん。
にしても、珍しーポケモン持ってんのな」
「おまけになかなかの上玉じゃねぇか。白髪のそいつとセットで良い値になりそうだ」
ニヤニヤと下品な笑顔を浮かべる2人組を前に、緋翠が私たちの前に立つ。
彼らはモンスターボールからそれぞれポケモンを繰り出してきた。まさか、本気で私たちを捕まえるつもり!?
「レパルダスにバルジーナ、か……」
相手の繰り出したポケモンを見て、ハルが苦々しげに呟く。
もしかして、タイプ相性が悪いのかもしれない。……よし!
「ハル、右の飛行タイプっぽい方は私たちに任せて。碧雅、お願い!」
『仕方ないな……。後で3段アイス買ってよね』
碧雅が擬人化を解き、原型であるグレイシアの姿に戻る。
目が爛々とし始めた男2人組を見て、ハルは小さくため息をついた。
「別に助けて欲しいなんて頼んでないんだけど。……まぁ、お前のポケモンに何かあったら悪いからね。
……やるよ、紫闇」
ハルの投げたモンスターボールから出てきたのは紫闇君……ではなく、何故か翠姫ちゃんだった。
「えっ、翠姫ちゃん……?」
「ちょっと、よそ見しないで。こいつらに捕まりたいなら別だけど」
「すみません真面目にやらせていただきます」
あれ、似たようなやり取りを前に碧雅ともしたような気がする。
この後のスケジュールのこともあるし、ちゃちゃっと終わらせなきゃ!
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