07

「それまで! ……烈の勝ちだな」

試合終了のコールと同時に、慌てて晶のところへ駆け寄った。

目を閉じてぐったりしてるけど、気を失っているだけみたいだったのでひとまず安堵する。

「……ありがとう、晶。よく頑張ったね」

そっと晶の頭を撫でて労い、モンスターボールに戻す。

起きてる時にやろうものなら絶対嫌がるんだろうな。

「ユイちゃん、晶君、お疲れ様」

『久しぶりに良いバトルさせてもらったぜ。また機会がありゃ、やりたいもんだ』

「私たちの方こそ、ありがとうございました。晶にとっても良い経験になったと思います」

目の前に差し出されたアレックスさんの手を取って立ち上がる。

晶にとっても、もちろん私にとっても、とても有意義なバトルだった。

私たちはメガシンカを扱うことはできないけど……。

それでも全力で戦って得たこの経験は絶対に思い出になるし、今後の糧になる。

「ユイ、晶君、すごく良いバトルだったよ! お疲れ様!」

「ありがとう! 負けちゃったのは悔しいけど、とても楽しかった!」

「烈の坊主を相手にあそこまで戦うとは、晶の坊主もやるなぁ。
見ていたら久しぶりに体を動かしたくなって来おったわ!」

「おっ、じゃあ俺やりてぇ! 良いだろ、ユイ?」

「良いけど、まずは晶を休ませないと……」

「ユイ様、晶様は私がお預かりします」

いつの間にか来ていたクロエさんに驚きつつ、晶の入ったモンスターボールを預ける。

烈さんもクロエさんに連れられて、晶と一緒に治療を受けに行った。



その後、私たちは時間が許す限りポケモンバトルを楽しんだ。

ちなみに紅眞と剛さんのバトルは、剛さんの勝ち。

スピードを味方に付けた紅眞の猛攻を物もせず、守るの技を巧みに使いながら重量級のバトルを展開していた。

あとボスゴドラが波乗りを覚えるのは完全に予想外だったよ……。

クロエさんのところに向かう紅眞と剛さんと入れ替わるように、治療を終えた晶と烈さんが戻ってきて。

お互いの健闘を称え合いながら(晶は相変わらず素直じゃない言い方だったけど)、再戦を約束していた。

アレックスさんと烈さん、そして剛さん。

彼らのその背中に、たくさんのことを教えてもらった1日だった。



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