04
「随分賑やかだと思えば、アレックスの坊主にフユカの嬢ちゃんか! 久しぶりだなぁ」
広いバトルフィールドでもよく響く声が聞こえてくる。
全員が一様に振り向くと、背が高くてガッシリ体型の男性が歩いてくるのが見えた。
「あっ、剛さん! こんにちは」
「ご無沙汰しています」
「えっ。だ、誰……?」
服装から見ても執事さんって訳じゃないだろうし……フユカたちの知り合い?
あまりにもジロジロと見てしまっていたせいだろうか、彼の青い瞳と目が合った。
「ん? そっちの嬢ちゃんたちは初めて見る顔だな」
「彼女はユイ、私の友達なんです」
「は、初めまして! ユイと言います!
シンオウから来ました!」
「ほぅ! それは遠路はるばるご苦労さんだなぁ。
俺は剛、種族はボスゴドラだ。よろしく頼むぞ?」
キャンディーいるか? と差し出された棒付きキャンディーを、お礼を言って受け取る。
何か……同じ鋼タイプでも、銀嶺さんとはまた違う雰囲気の人だなぁ。"気さくなおじ様"って感じ。
「おじちゃん、おっきーねー」
「どうした、肩車でもしてやろうか?」
「わーい」
「わっ、ちょっと白恵! すみません、剛さん!」
「なぁに、構わんさ。
どうだ、白恵の坊主? 遠くまで見えるだろう?」
「しゃきーん、がったーい」
ロボット漫画みたいなセリフを言う白恵を見て、剛さんが豪快に笑う。
"ほれ、坊主にもやろう"って棒付きキャンディーを白恵に渡していた。
小さい子の扱いに慣れてるんだなぁ。
「おじちゃん、ありがとー」
「……フフッ、白恵のマイペースぶりは相変わらずですね」
「微笑ましくて良いではないですか、緋翠。
白恵を見ていると心が癒されますわ。ねぇ、氷雨?」
「えぇ。彩の小さい頃や、悠冬がアマルスだった頃を思い出します」
そういえば氷雨君は、"悠冬とは氷タイプ同士、仲が良いみたい"ってフユカが言ってたっけ。
お兄さんと弟って感じがして、何だか微笑ましくなってくる。
「良いんじゃない? 緑炎から聞いたけど、元々面倒見は良い方みたいだしさ」
「本当に子ども好きだよな、剛さん。
……で。いつまでやってんだ、そこ3人」
"バトルするんだろ"って緑炎さんの言葉に、ここに来た本当の目的を思い出す私たち。
晶と烈さんが擬人化を解いたのを見て、お互い所定の位置に付いた。
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