03


『どこだ、ここ?』

ヤベ、完全に迷っちまった。

レイナと一緒に書店に来ていた俺は、始めは子ども向けの絵本のコーナーを見ていた。

もともと俺は静かに本を読むよりも、体を動かす方が好きだ。

断じて脳筋ではない。それだけは言っておく。

書店だから当たり前なのだが、見渡す限り本、本、本。

場所を移動したかったが、レイナはシンオウ神話に関する本を探すと言っていたから、自分の都合で場所を移すのは憚られた。

少しだけなら良いだろうと、すぐに戻るつもりで書店コーナーから離れたのだが――



迷った。



『えーっと? ここが家電コーナーだから……』

あれ、俺ってこんな方向音痴だったか?

『書店どこだ……』



「おや? そこのタツベイ、どうしたんです?」

急に声が聞こえた。

後ろを振り返った場所にいたのは、1人の人間。

買い物帰りなのか、買い物袋を持っている。

袋に入ってるリンゴ、美味そうだなー。

……って、今はんなこと言ってる場合じゃねぇ。

『情けない話、道に迷っちまってよ。
書店に戻りたいんだが、どう行けば良いんだ?』

「書店に? 絵本でも読むんですか?」

『いや、連れが書店にいるんだ。
てかお前、俺の言葉が分かるのか?』

「ええ、分かりますよ。私もポケモンですから」

『へぇ』

「書店に行きたいのでしょう? 案内しますよ」

『良いのか!? サンキュー!
俺、勇人ってんだ。お前は?』

「私は蒼陽、種族はリオルです。
書店はこっちですよ。ついてきてください」

蒼陽っていうのか……。良い奴だな。


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