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「おい、ちんちくりん。カロスへの飛行機を予約しろ今すぐにだ」



宿泊部屋に戻ってきた私を見るなり早口でそう言い放つ晶に、思わずキョトンとする。

というか、ここにいるほぼ全員がみんな同じ顔をしていた。

「ど、どうしたのいきなり? それに、何でカロス?」

「決まっているだろう。カロスのチャンピオンに挑戦状を叩き付けに行くんだ」

挑戦状を叩き付けに行く? カロスのチャンピオンに?

「ちょっと待って話が見えない! 何でそんなことになったの!?」

素っ頓狂な声を出す私を尻目に、晶は紅眞に"修行に付き合え"って言い出した。

それに対し、紅眞は"えー、俺これから昼飯の支度あんだけどー"って少し呆れ気味に返事をしている。

……あれ、これもしかしなくてもカロスに行くの決定? 拒否権無し?

どうしたものかと頭を悩ませていると、璃珀が苦笑いしながら声を掛けてきた。

「実は今見ていたテレビに、カロスのチャンピオン・カルネさんが映っていたんだ。
公式戦のバトル中継だったんだけど、彼女のサーナイトが興味深かったみたいでね」

「サーナイト?」

サーナイトって確か、ラルトスの最終進化系だったよね?

相性では苦手なはずのフェアリータイプのポケモンに興味を持つなんて珍しいな。

「で、それがどうして"挑戦状"なんて話に?」

「察しが悪いな……。カロスチャンピオンのサーナイトって言ったら、メガシンカしか無いでしょ」

「あー、メガシンカ!」

ため息混じりの碧雅の言葉に"なるほど"と手を打つ。

カロス地方で一部のポケモンにのみ確認されている、ポケモンの新たな可能性。

メガシンカしたポケモンは能力が向上するらしいし、バトルにストイックな晶が興味を持つのも納得だ。

というか"カルネさん"って、どこかで聞いたような……。

「でも晶君、カルネさんに会うのはとても難しいと思うよ。
彼女はカロスチャンピオンであると同時に、大女優でもあるからね」

それだ! 大女優・カルネさん!

前にフユカと会った時に聞いた名前だ!

"私も大ファンなんだよ"って、フユカ言ってたっけ。

チャンピオンと女優の2足の草鞋……うん、スケジュールすごそう。

「メガシンカかー。白刃とバトルしたの思い出すわ」

"あん時の白刃強かったなー"と、当時のバトル思い返している紅眞の隣で晶が驚いた顔をした。

「狂信者1号もメガシンカとやらを使うのか!?
……クッ、そうと知っていれば真っ先に挑んでいたものを!」

な、何かキャラが変わってきてない、晶……?

というか白刃君のあだ名、"狂信者1号"で固定されちゃってるし。

「私たちの中でメガシンカするポケモンとバトルしたのは、紅眞だけですからね」

「何!? 抜け駆けとは良い度胸だな、トサカ頭」

「いや別に抜け駆けじゃねーし。俺がバトルしたの、晶が仲間になる前だったしな」

"うわ、出たよ戦闘狂"って若干顔を引き攣らせている碧雅の隣で、私はふと思い出したことがあった。

「そういえば紅眞、前に烈さんとバトルしたことあったよね?
バシャーモに進化した今なら、メガシンカ有りでバトルできるかもよ?」

あの時はまだワカシャモだったし、メガシンカ無しでのバトルだったしね。

炎タイプの最終進化系同士、良い刺激になりそう。

「? 誰だ、その"烈"とやらは」

「晶と白恵はまだ面識がありませんでしたね。
プラターヌ博士の助手・アレックスさんの相棒で、種族はリザードンです」

「リザードンだと? ……ほぅ、面白いじゃないか。
予定変更だ、ちんちくりん。まずはそのリザードンに挑戦状を叩き付けてやろう」

「あっちゃん、がんばれー。わっしょーい」

「私もあわよくばフユカに会えたら良いなとは思ったけどさ……」

まぁ、みんなが楽しそうなら良いかな。



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