09

残るは最終戦。勝っても負けても、これが今回最後の試合になる。

「すごいね、ユイ。前にバトルした時よりも着実に強くなってる!」

「本当!? エヘヘ、そう言ってもらえるのは嬉しいなぁ」

私が今まで手に入れたジムバッジは4つ。それに対してフユカは6つ。

経験量が確実に上な彼女にそう褒められて、ニマニマと口角が自然と上がるのを抑えられない。

「ユイ、今はバトル中なんだから集中しなよ」

「わ、分かってまーす!
……よし。絶対に勝とうね、龍矢君!」

『OK! 女の子の頼みなら断る理由は無いからね!』

「私たちだって簡単には負けないよ! 晶君、Saisir la victoir!」

『どこまでやれるのか見ものだな、ちんちくり……平民女』

龍矢君と晶。ドラゴン・飛行タイプ同士のバトルだ。

何か白刃君と緋翠がオーラみたいなの出しながら晶を見てるけど……見なかったことにしよう。

『チャラ男が相手か。であれば前回のバトルの続きだな』

『あー、バレンタインの時の。どっちが勝っても恨みっこなしだよ?』

「まずは能力を上げておこうか。竜の舞!」

晶が空中を華麗に飛び回り、自身の攻撃と素早さを上げる。

対して私は龍矢君に鋼の翼を指示したけれど。白い霧で目眩しされて、当たったかどうかは分からなかった。

「もう1度鋼の翼!」

「それならこっちはドラゴンクロー!」

鋼の翼とドラゴンクローが激しくぶつかり合い、龍矢君と晶が距離を取る。

一進一退の攻防は長く続き、私たちは時間を忘れてバトルに熱中した。



『……ゼェ……ゼェ……。なかなか、やるじゃん……晶』

『……ハァ……ハァ……。お前の、方も……な』

龍矢君も晶も、長い攻防戦が続いたからか肩で息をしている。

それでも"まだ勝負は終わってない"と言うように、その目には強い闘志が宿っていた。

お互い体力はもう限界……。この一撃に、全てを懸ける!

「龍矢君、次で決めるよ!」

「これで決着をつけよう、晶君!」

龍矢君たちが息を整えたのを確認し、私とフユカは耳を塞ぐ。

考える事は同じか、って思わず笑ってしまった。



「「爆音波/ハイパーボイス!!」」



音を使った技が激しくぶつかり合い、バトルフィールド全体の空気を揺るがす。

どちらも力は互角。拮抗した力が中央で爆発し、龍矢と晶は同時に目を回して倒れた。



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