02
「涼しいー!」
「生き返るー!」
茹だるような暑さから一転、クーラーの効いた部屋で息をつく。
モンスターボールから出てきたみんなも、思い思いにこの涼しさを満喫しているようだった。
……こら碧雅、しれっと設定温度下げようとしない。
「マスター、アイスティーでもお入れしましょうか?」
「うん、お願い。フユカも飲むよね?」
「良いの!? じゃあ、ありがたくお相伴させてもらおうかな」
お任せ下さい! と言って嬉しそうにキッチンへと向かった緋翠を見送る。
そして改めてフユカに向き直り、再会を喜び合った。
「まさかフユカに会えるとは思わなかったよ! でも、どうしてシンオウに?」
「海水浴に来たんだよ。最初はショウヨウシティに行こうと思ってたんだけどね」
テレビでここが特集されてたから来ちゃった、と笑うフユカ。
いつも思うけど、フユカって結構フットワーク軽いよねぇ。
思い切りが良いというか、行動力があるというか。
飛行機の予約だって大変だろうし、すごいな……。
(海水浴か……)
確かにこの前海開きってテレビでやってたし、調度良い時期かも。
このポケモンセンターは海の目の前に建ってるみたいだし、徒歩でのアクセスも良さそう。
「1部屋しか空いてないって言われた時はどうなるかと思ったけど、空いてたのがツインで良かったね」
「そうだね。この暑さの中で野宿なんて考えたくもないよ」
「へぇ、面白いこと言うねユイ?」
碧雅が絶対零度の笑みで私を見る。
"冗談ですごめんなさい!"と即座に謝ると、勝ち誇ったようにテレビへ視線を戻した。
「フユカさんは海水浴に来たんだったね。ご主人も参加させてもらったらどうかな?」
せっかく天気も良いんだし、と璃珀が笑う。
それを聞いたフユカも"良いね!"と私の方へ身を乗り出した。
「ユイたちも一緒に行こうよ! 璃珀さん水タイプだし、たまには海で思いっ……あ」
不意にフユカが言葉を切ってしまう。
たぶんだけど、璃珀が人型を取ることが多い理由を思い出したのかな……。
肩を落として"ごめんなさい……"と謝る彼女を見て、璃珀は気を悪くするでもなく微笑んだ。
「お気遣いありがとう、フユカさん。俺のことは気にしなくて良いから、ご主人と楽しんでおいで」
「……ありがとね、璃珀。
フユカが良いなら私も行きたいな。水着無いけど」
「確かこの近くにデパートがあったから、そこに買いに行く? 一緒に選んであげるよ」
「では姫、荷物持ちは私にお任せを」
「私もお供いたします、マスター」
アイスティーを入れ終わった緋翠が戻ってくる。
人数分入れてくれたからかコップの数も多く、それを見た緑炎さんが手伝いに入ってくれた。
キンキンに冷えたアイスティーで喉を潤し、私たちは緋翠と白刃君を連れてデパートへと向かった。
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