06


感動の再会の後は、ナオトお待ちかねの職場体験だ。

トレーナーから預かったポケモンたちのご飯を準備したり、牧場の敷地内の手入れや掃除をしたり。

他人のポケモンを預かるのだから、体調不良や怪我が無いようにチェックをしたりもする。

そのポケモンの些細な変化に気付ける観察力がとても重要な仕事なんだと感じた。

割と力仕事も多くて、そこは力自慢のメンズたちが引き受けてくれて。

体の大きなポケモンはご飯もたくさん食べるから、準備も大変だ。

來夢、誠士、緋色と一緒に大量の食事を作って持っていく。

するとジュウゾウさんも運ぶのを手伝うと言ってくれたので、好意に甘えたんだけど……。

何だか見ていて危なっかしい。

「だ、大丈夫ですか? 無理しない方が……」

「何の、ワシは育て屋を始めて数十年。まだまだ現役じゃよ」

その割に息切れすごいですよ!? とは言えず、ハラハラしながら見ていることしかできない。

すると誰かがジュウゾウさんから荷物を取り上げた。

「無理すんなよ、じいさん。もう歳なんだし、力仕事は俺らがやっから」

「こら勇人!」

せっかく言わずにいたことを、あんなにあっさりと……。

でもジュウゾウさんは気を悪くするでもなく、苦笑いを浮かべる。

「良いんじゃよ、レイナさん。老いた年寄りなのは事実じゃからな。
……不思議なものじゃなぁ。ポケモンである勇人と、こんな風に話をすることになるとは夢にも思わなんだ。
ばあさんも言っておったが、本当に立派になったなぁ」

「伊達にシンオウを旅してきてねぇからな。成長してなきゃ、それこそお笑い草だろ?」

「……こうして見るとジュウゾウさんたちと勇人って、本当に"お祖父ちゃんと孫"みたいだね」

「あぁ、そうだな」

「優しい2人と暮らしてきたんなら、あの真っ直ぐな性格も納得がいくぜ」

「勇人は、本当に2人に愛されているんだね」

今までの旅の話をする勇人に、ジュウゾウさんは笑顔を浮かべてそれに相槌を打つ。

そんな2人の様子を見て、私たちも笑みを深くした時だった。


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