05


持参したケーキをお茶請けにしながらティータイムを楽しむ。

ポケモンたちを出しても構わないと言われたけど、匹数が匹数だし流石に遠慮した。銀嶺もいるしね。

「そういえばレイナさん、あの子は……タツベイは元気にしていますか?
大好きなポケモンバトルを楽しんでいると良いのですが……」

ユキエさんのその言葉を聞いて、私とナオトは頷き合う。

待ちくたびれてるだろうし、そろそろ懐かしのご対面といきますか。

「実は……今日僕たちがここに来たのは、育て屋の仕事を体験するためだけではないんです」

「どういうことじゃ?」

私は1つのモンスターボールを手に取り、それをジュウゾウさんの手に乗せる。

「私たちがここに来た1番の理由は、成長した姿を見せたかったからなんです。
……ボールから出してみてあげてください。"彼"も2人に会えるのを楽しみにしてたんですよ」

ジュウゾウさんが不思議そうな表情で軽くモンスターボールを投げる。

ボールから飛び出してきたポケモンを見て、ジュウゾウさんとユキエさんは呆気に取られていた。



「このポケモンは……まさかボーマンダか?」

「ほ、本物は初めて見ますね……。
とても好戦的で、1度怒ると手が付けられなくなると聞きますが……」

勇人は我を忘れるほど怒り狂ったことは無いけど、好戦的なのは正しいよね。バトルジャンキーだし。

まじまじと興味深そうに勇人を見つめていたジュウゾウさんが、突然"あっ!"と声を上げる。

「お前……もしかしてタツベイか!?」

「まぁ、本当に!?」

私からアイコンタクトを受けた勇人が静かに頷いて擬人化する。

ポケモンが人の姿を取る様を見て再び目を丸くした。

「久しぶりだな。じいさん、ばあさん」

「タツベイ……いや勇人、本当にお前なんだな」

「こんなに立派になって……。やっぱりあなたをレイナさんに託して良かったわ」

少し照れくさそうにはにかんだ勇人を見た彼らは、その目にうっすらと涙を浮かべて喜んでくれた。

私もつい貰い泣きしてしまったのは内緒だ。


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