04


「それじゃあ博士、行ってきます」

「うむ、メイ君は我々が責任を持って預かろう。楽しんできたまえ」

「メイ、ちゃんとナナカマド博士の言うことを聞くんだぞ」

「はーい、行ってらっしゃい!」

ナナカマド博士とメイちゃんに見送られながら私は勇人の、ナオトは疾風の背に乗って空を移動する。

最初は飛行機で行こうかって言ってたんだけど、ズイタウンに空港が無いと分かって取り止め。

ズイタウンへは自分たちで行って、ナギサシティから飛行機で帰ることにしたんだよね。

……コトブキシティからマサゴタウンまでは歩きだけど。

「ズイタウンに行くのも久しぶりだなぁ。あの町の育て屋さんで勇人と出会ったんだよね」

『だなぁ。じいさんとばあさん、元気にしてっかな?』

「あぁ、なるほど。勇人を里帰りさせたいというのは、そういうことだったんだね」

「うん、あの後ズイタウンに行く機会も無かったから。
タツベイだった頃しか知らないだろうし、成長した姿を見せてあげたくて」

たぶん2人とも、今の勇人の姿を見たらビックリするんだろうなぁ。

それにナオトも将来的に育て屋を営んでみたいって言ってたし、良い経験になるかも。



眼下にズイタウンを確認した私たちは、町に降り立った後すぐに育て屋さんへ向かった。

ユキエさんとジュウゾウさんは、あの日と変わらない笑顔で私たちを迎え入れてくれて。

突然訪問したにも関わらず育て屋の仕事体験を快諾してくれ、何と今夜の宿まで提供してくれることになった。

「いやぁ、よく来てくれたな。またいつか会いたいものだと、おばあさんと話していたんじゃよ」

「またお会いできて嬉しいですよ。そちらの方は彼氏さんかしら?」

「かれっ……いえ、その……。こ、婚約者です……」

恥ずかしさから尻すぼみになっていく私の声でも、彼らの耳に届くには十分だったらしく。

ユキエさんは"あらあら、まぁまぁ!"と笑みを深め、ジュウゾウさんは"そうか、それはめでたいなぁ!"と言いながら私とナオトを交互に見る。

「初めまして、僕はナオトです。今日1日、お世話になります」

「よろしくな、ナオト君。分からないことがあれば何でも聞いておくれよ」

「はい、ありがとうございます」

まずは積もる話もあるということで、4人でお茶をすることになった。


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