03


「ただいま」

あ、外出してたナオトが帰ってきた。

緋色と銀嶺と一緒に、夕飯に使うお米を買いに行ってたんだよね。

「おかえり、ナオト」

「ねぇねぇ、ナオトは"海の見える街"って他に知らない?」

「え、"海の見える街"かい? すぐには思い付かないけど、どうしてそんなことを?」

「実はね……」

私はナオトに、さっきまでの会話の内容を全部話した。

すると彼は一言"なるほど"と呟いて、カバンからタウンマップを取り出した。

その手があったか、と思ったことはここだけの話だ。

「レイナ。1つでも良いから、他に何か思い出せないかい?」

「他にと言われても……あっ!」

私の記憶が確かなら、あの街にはアレがあった気がする!

「何か思い出したのか?」

「灯台……灯台があった。あと、ソーラーパネルも」

「灯台に、ソーラーパネル……。その2つが揃うのは、あの街しかない」

ナオトがタウンマップで該当する街を検索してくれる。

差し出された画面をみんなで覗き込むと、そこには"ナギサシティ"という文字が表記されていた。

街並みの写真を見て、直感的な懐かしさを感じる。

「"太陽が照らす街"、かぁ……。素敵なフレーズだね」

「うん、ますます行ってみたくなっちゃった!
ねぇナオトお願い! レイナの生まれた場所に行っても良いでしょ?」

「こら笑理、ナオトを困らせちゃダメだよ」

「僕は構わないよ、レイナ。ナギサシティにはまだ行ったことが無いしね。
観光がてら街を見るのも楽しいんじゃないかな」

笑理が"やったー!"と言いながらピョコピョコ飛び跳ねる。

ナオト、最近笑理に甘くなってきてないかな? 私も人のことは言えないけどさ……。

「それに……」

「? それに、何?」

「君の故郷なんだ。恋人がどんな街で過ごしたのか、気にならないわけがないだろう?」

「だけど……メイちゃんはどうするの? 1人で留守番はちょっと可哀想だし」

「あぁ、それは大丈夫。ヒカリちゃんと遊びに行くんだって、張り切っていたから」

ヒカリちゃん……何というタイミング……!

でもそれならメイちゃんも寂しくないかな?

「そ、そうなんだ……。じゃあお言葉に甘えようかな。
でもナギサシティに行く前に、ズイタウンの育て屋さんに行っても良い?
1度勇人を里帰りさせてあげたいし、ナオトも育て屋に興味があるって言ってたでしょ?」

「分かった。せっかくなら2泊3日の旅行にしようか。
初日はズイタウンで、2日目と最終日はナギサシティで過ごそう」

「賛成!」

「たまには皆でゆっくりするのも良いな」

ひとまず明日は旅行の準備に専念して、出発は明後日の朝ということになった。


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