06
この大会にエントリーしたコーディネーターたちが次々とパフォーマンスを決めていく中、ついに私たちの順番がやってきた。
ただ1つ不安があるとすれば──
「フタバ祭り・パフォーマンス大会もいよいよ大詰め! この方の演技が最後になります!」
(よりにもよって何故大トリなのか……!)
ヨスガのコンテストの時は、私の後に何人かいたからまだ気が楽だったけど今回は違う。
ここで盛大にコケたりなんかしたら黒歴史確定だ。客席にナオトもいるし!
『……おい』
バブルシールの貼られたボールの中から幸矢が声をかけてくる。
『アンタはアンタのやるべきことをやれ。あとは俺がどうにかする』
「……うん、ありがとう幸矢」
ここまで来た以上はちゃんとやり切らないとね。じゃないと幸矢にも、みんなにも失礼だ。
「それでは登場していただきましょう。
エントリーナンバー30番、レイナさんの登場です!」
勢いのままステージへ走り、モンスターボールを投げ上げる。
バブルと一緒に飛び出した幸矢が華麗に着地した。
「いくよ幸矢! それっ!」
私の投げたビーチボールを逆立ちした幸矢が尻尾で受け止める。そしてそのままリフティングを始めた。
ブイゼルって首の浮き輪にフォーカスあたりがちだけど、尻尾も可愛さも魅力だと思うんだよ。
ビーチボールを打ち返してもらい、次は水で膨らませた風船を尻尾を使ってコロコロと回す。
分かりやすく言えば、"いつもより多めに回っております"ってやつ? ……違うか。
「よし、良い感じ! 幸矢、風船を打ち上げて冷凍パンチ!」
『あぁ』
冷凍パンチの冷気で破れた風船の中から雫型の氷が出てくる。
それを再び尻尾で転がす幸矢の身体を、氷が反射した光がキラキラと照らした。
「フィニッシュだよ! アクアジェット!」
上空へ投げ出された氷にアクアジェットが命中しする。
ステージに着地した幸矢の上から光の粒子が降り注いだ。
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