04


「こっ、断る!」

「お願い幸矢、そこを何とか!」

幸矢に頭を下げること数分。私が彼に何を頼み込んでいるのかというと……。

「大体、パフォーマンスなら他に適任がいるだろう!」

そう、明日のパフォーマンス大会のエントリーポケモンとして出場してもらうこと。

彼の言い分はもっともだ。でも今回は事情が違う。

何故なら──

「笑理も來夢も、今回は見る側に回るって言うし……」

幸矢がものすごいジト目で2人を見やる。それに対し、笑理は"だってぇ"と続けた。

「ヨスガのコンテストの時は、レイナのドレスじっくり見られなかったんだもん」

「ご、ごめんね幸矢。私も前は成り行きだったし、大勢の前に出るのはまだ怖くて……」

「コンテストに興味無いのは分かってるよ。いきなりで悪いとも思ってる。
でも今思い浮かんでるパフォーマンスは、幸矢にしか頼めないんだよ」

ヒカリちゃんの強い希望で彼女の実家に宿泊させてもらうことになった私は、その道中で必死にパフォーマンスを考えた。

その結果思い付いたのが、水と氷を使うものだった。

私の手持ちの水タイプは幸矢しかいない。氷タイプの技を覚えているのも彼だけ。

大会の開始はフタバ祭りの初日である明日。

練習する時間も考慮すれば、今から新しいパフォーマンスを考えるのでは間に合わない。

藁にもすがる思いでもう1度"お願い!"と頭を下げる。

幸矢は長い沈黙の後、片手で顔を覆って深いため息をついた。

「……今回だけだぞ」

「ありがとう、幸矢!」

彼には今度、サイコソーダを1ダース買ってあげよう!

「……で? どう立ち回れば良いんだ?」

頭の中にある演技の構想をザックリと絵に描き、しっかりと打ち合わせする。

よし、明日に向けて練習だ!


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