02
ヒカリちゃんに腕を引かれるがまま案内された場所に行くと、そこにはポニーテールの男の子と話しているアヤコさんがいた。
あれ、あの男の子の後ろ姿どっかで見たような……?
「ママー! レイナさん連れてきたよー!」
「あらレイナさん、いらっしゃ……」
「ふえーん! レイナー!」
「ぐっふ!?」
いきなりポニテボーイに突撃されましたよ……。
というかこの声、どっかで聞いたぞ?
「ケホッ……! 突然誰……って、天馬君!?」
私の方に飛び込んできたポニテボーイは、何と天馬君だった。
天馬君は大きな黒い瞳を涙でうるうるさせていて、今にも泣き出しそうだ。
「レイナさん、この子を知ってるの?」
「はい、友達のポケモンです。天馬君、ナオトたちは一緒じゃないの?」
「さっきまで一緒だったんだけど、人の多いところではぐれちゃって……。どっかで見なかった?」
「私は見てないなぁ、町にもさっき着いたところだし……。笑理はどう?」
『あたしも見なかったよ』
シューンと肩を落とす天馬君の姿に少し心が痛む。
でも闇雲に歩き回るわけにもいかないし、大人しくここで待ってた方が良さそうだね。
「天馬君。私たちもいるからさ、ここでナオトを待ってようよ。
もしかしたら迎えに来るかもしれないし」
私がそう言うと同時に、"天馬!"と言いながら走ってくる青年。
この声は間違いない、ナオトだ。
天馬君はナオトの姿を見つけると、名前を呼びつつ飛び込んでいった。
やっぱりね、ここで待ってて正解だったよ。
「すみません、うちの子がご迷惑をお掛けしました」
「いいえ、無事に見つかって良かったわ。
レイナさんのおかげでどこの子かも早く分かったし、助かっちゃった」
「レイナも、天馬といてくれてありがとう」
「気にしないで。それより、ナオトはどうしてここに?」
「このお祭りのバトル大会に出場しに来たんだ。トーナメント戦の優勝者はタワータイクーンとバトルできると聞いたから」
疾風がいつになくやる気満々でね、とナオトが苦笑する。
その様子がたやすく想像できて、思わず笑ってしまった。
すると私たちの近くで話を聞いていたジュン君が、ツカツカとナオトの方に歩いていく。
「悪いけど、ダディとバトルするのは俺だ。絶対に俺たちが優勝するからな」
「おや、僕だって負ける気は無いよ。トーナメントでぶつかった時は、お互い全力で戦おう」
お、おぉ……新しいライバル誕生か。
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