13
ナックルシティは歴史的風景が色濃く残る、大きな街だった。
ナックルスタジアムも、シュートシティのスタジアムと違って中世のお城のような建物だ。
初めにカフェに寄ってアフターヌーンティーを楽しんだ後、宝物庫を訪れる。
大きな門を開けて建物に入ると、そこにはキバナさんが眼鏡を掛けた男性と話し込んでいるところだった。
真面目な話をしていたので一段落するまで待っていると、"お?"とキバナさんと目が合った。
「よっ! 昨日会った……フユカとレイナだったか?」
「こんにちは、キバナさん」
「今日は宝物庫の見学に来ました」
「そうか、よく来たな。もう少しで打ち合わせが終わるから、ちょっと待っててくれ」
指示受けた眼鏡の男性が"分かりました"と言って宝物庫を後にする。
ふぅ、と軽く一息ついたキバナさんが歩いてきた。
「待たせたな、2人とも。
ここで会ったのも何かの縁だ。特別に、俺様が宝物庫を案内してやるよ」
「良いんですか!?」
「ぜひお願いします!」
まさかジムリーダー直々に案内してもらえるなんて、とても貴重な体験だ。
"よし、じゃあ行くか"とキバナさんについて宝物庫の中に向かった時だった。
「キバナ、いるか?」
背後から聞こえてきた声の主は、ダンデさんだった。その隣にはリザードンもいる。
ダンデさんは私たちに気が付くと、あの太陽のような笑顔を浮かべて近付いてきた。
「フユカ君にレイナ君じゃないか!
ガラル観光は楽しんでいるかな?」
「はい、とっても!」
「良いお土産話が出来ました!」
"それは良かった"とニッコリ笑うダンデさんに、キバナさんが用件を聞く。
「俺様これから、2人を宝物庫に案内しなきゃいけねえんだけど」
「おぉ、そうだったのか。なら、彼女たちの案内の後で構わない。
今日はオフだから、単純に君とバトルしに来ただけだからな」
"バトル"のワードに反応したらしい勇人君がモンスターボールから出てくる。
突然現れた勇人君に、キバナさんが目を輝かせた。
「そのポケモン、タツベイだよな!? お前もドラゴンポケモンを連れてるのか」
「あ、はい……タツベイの勇人です。あとガバイトの誠士もいますよ」
「マジ!? なぁ、ガバイトも見せてもらって良いか?」
「もちろん。誠士、出ておいで」
勇人君に続いて出てきた誠士君に、キバナさんのテンションはうなぎ登りみたい。
ガラル地方にはタツベイもフカマルも生息していないらしくて、"良いなぁ"と羨ましそうにしていた。
その表情がどことなく昨日見たワンパチを彷彿とさせて、思わずクスリと笑ってしまった。
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