06
私が来た道と反対側から現れた、がに股の男の人。
ゴウカザルと目が合ったかと思うと、真っ直ぐこちらへと歩いてきた。
「お、こんな所にいたのか。 ……ん?」
ふと、目が合った。
その人は焔をじっと見て、満面の笑みを浮かべる。
「そのモウカザルは、君のポケモンかい?」
「え? あ、はい。そうですけど……」
「よく育てられてるな。
俺の相棒にもこんな時期があったかと思うと、少し懐かしいぜ」
「あの、あなたは……?」
「あぁ悪い、初対面の相手に名乗らないのは失礼だな。
俺はオーバ、シンオウリーグの四天王さ。
君の名前を聞いても良いか?」
「四天王のオーバさん……。……え、四天王!?」
まさか本物の四天王の1人に会えるなんて!
「は、初めまして! 私は、レイナって言います。
こっちはモウカザルの焔です!」
驚きのあまり素っ頓狂な声が出てしまったけど、オーバさんはそれを笑うことなく「よろしくな」と言ってくれた。
「……良い目をしてるな、君のモウカザルは。
よし! 君がバッジを全部集めたら、ナギサジムでバトルしようぜ」
「『ええっ!?』」
まさか四天王直々のバトルオファーですか!?
「君のポケモンと全力のバトルがしてみたくなった!
特に、そのモウカザルとな。
お前もそう思うだろ、相棒?」
『そうだな、それも悪くねぇ』
おぉう、何かトントン拍子で話が進んでいる気がするぞー?
「……どうする、焔?」
『……やる。僕もゴウカザルに進化したら、彼と思いっきりバトルがしてみたい!』
焔も乗り気みたいだし、ここは本人の意志を尊重してあげるのがトレーナーだよね。
……うん、決めた!
「分かりました。
ジムバッジを全部集めたら、その時はバトルしましょう!」
「ありがとうな、レイナ。その時を楽しみにしてるぜ。
まずは各ジムへの挑戦、頑張れよ」
「はい!」
オーバさんが差し出した手を取って、固い握手を交わす。
私にとっても、焔にとっても、共通の目標が出来た1日だった。
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