03
僕が向かったのは、街の外れにある森の中。
さっきテレビで見たゴウカザルの動きを真似しながら、自分なりにイメージトレーニングを始めた。
(あの速いパンチはどうやって出してるんだろ?
僕にも使えるようになるかなぁ?)
シャドウボクシングのように、目の前に相手がいることを想像しながらパンチを繰り出していく。
でもこの時の僕はイメトレに夢中になるあまり、周りが見えていなかった。
振り向きざまに放ったパンチが木の幹に直撃してしまう。
木の中から姿を現したのは、昼寝の邪魔をされて怒っているスピアーの群れだった。
『せっかく気持ち良く寝てたってのに、目が覚めちまったじゃねぇか!』
『わわっ、ごめん! そんなつもりじゃなかったんだよー!』
スピアーたちに背を向けて、さらに森の中へ走る。
"スピアーを怒らせた時は、下手に反撃したらダメだよ"ってレイナに言われているから。
でもスピアーの怒りは収まらず、どんどんスピードを上げて追いかけてくる。
『ちょこまかちょこまかとすばしっこいヤツめ!
これでも喰らいやがれ!』
背後から飛んでくるミサイル針に、"もうダメだ"と諦めかけた時だった。
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