03

「……ん……、ぁ……あれ……?」

目を覚ました私の視界に映ったのは、真っ白な天井だった。

(どこだろ……? というか、私今まで何してたんだっけ……?)

まだぼんやりとする頭で考えるも、気だるさが先に来て上手く頭が回らない。

「目が覚めたのね」

私の顔を覗き込んできたのは、ジョーイさんだった。

「この街に向かっている途中で倒れたんですってね。
あなたのポケモンたちがここへ連れて来たのよ」

ポケモンたち、ってことは……來夢たちが?

「あの……倒れた原因は何だったんですか?」

「検査結果は熱中症だったわ。
今日は熱中症になりやすい気温だってニュースでも言っていたわよ。
暑い日の水分補給はしっかりしてくださいね」

あ、そうか……。この街に向かってて、喉が渇いたけど近くに川も何も無くて、それで……。

「スミマセンデシタ……」

「今日はここに泊まって、1晩安静にしていて。
食欲はある?」

食欲……お腹は空いてるけど、そんなには食べられない。

「お粥とか、うどんとかなら……」

「そう。それなら、冷たいうどんにしましょう」

ジョーイさんがラッキーに後を任せて検査室を退室した。

そういえば、みんな今どうしてるんだろ? 心配してるだろうなぁ。

「……ねぇ、ラッキー。私を連れて来てくれたみんなは、どうしてる?」

『待合室で待ってもらっているけど……そうね、部屋に入ってもらいましょうか』

ラッキーが検査室を出て、外に向かって声をかける。

すると來夢たちが一目散に駆け寄ってきた。

「レイナ、もう大丈夫なの!?」

「良かった……! 良かったよぉ!」

「ごめんね、レイナ。僕がもっと早く気付いていたら……」

おぉう、押し寄せる波のような勢い……。

とりあえず笑理と焔を宥める。

「みんな、心配かけてごめんね。今夜は絶対安静だけど、もう大丈夫」

『ちゃんと生きてるよな?』

「大丈夫、生きてる」

しっかりした受け答えが出来ている私をみて、みんなが安堵の表情になる。

「ところで、検査結果はどうだったんだ?」

「あー、熱中症だって。水分補給はしっかりしなさいって叱られちゃったよ……」

アハハ……と力無く笑った私に、誠士は"無事ならそれで良い"と言ってくれた。

「ねぇ、レイナ。
レイナはあたしたちを置いていったりしないよね?
これからもずっと一緒だよね?」

栗色の大きな瞳を揺らしながら、不安気な顔で私を見つめる笑理。

その後ろでは焔と來夢も同じ顔をしている。

随分心配かけてたんだな……。ちゃんと反省しないと。

「大丈夫だよ、笑理。私はみんなを置いていったりしない。
これから先もずーっと一緒だよ」

頭を撫でてやると"良かったぁ"って言いながら、ふにゃぁと笑った。

今にも泣き出しそうな笑顔ではあったけど。

その後、ジョーイさんが持ってきてくれた冷うどんを夕食にみんなで談笑した。

私にはこんなに素敵な仲間たちがいる。

この子たちを置いていなくなる、なんてことは絶対にしない。

そう誓った。



次の日の朝、ジョーイさんに大量のスポーツドリンクを手渡されたのはまた別の話。


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