01
「あ゛つ゛い゛ーーーー」
炎天下の中を歩きながら、私は皮膚に刺さる陽射しと戦っていた。
日焼け止めを塗ってはいるものの、今は夏真っ盛り。
梅雨時のジメジメとした蒸し暑さから一転、夏特有のジリジリと照り付ける暑さへと変わっていた。
次の街まではまだまだ距離があって、しばらくは木陰で休みながら進むしかなさそうだ。
みんなもあまりの暑さにモンスターボールの中に引きこもっている。
……1名を除いて。
『ねぇレイナ、僕も外に出て良い?』
「え? 良いけど、外の方が暑いよ?」
『大丈夫!』
言うやいなやモンスターボールから飛び出した焔は、思い切り伸びをした。
しばらくの間、2人で並んで歩く。
今年の夏1番の暑さにかなりやられている私とは対照的に、焔は汗ひとつかかずにずんずん進んでいった。
『ねぇ、焔暑くないのー?』
「全然平気! もう少し暑くても良いくらいだよ」
「これ以上は干からびちゃうからヤメテ……」
『……焔ってすげぇな』
『……そうだね、私には無理だよ』
『流石は炎タイプ、と言ったところだな』
焔を見て唖然とする皆の声音に疲れが見え始めている。
これは早く街のポケモンセンターに入らなくちゃ。
そう思った時だった。
「……ぁ、れ……?」
突然視界がぐるぐると回り始め、吐き気が胸部を襲う。
歩くどころかまともに立っていることも出来なくて、気を抜けば今にも倒れてしまいそうだ。
「? レイナ、どうしたの?」
「何か……気持ち、悪い……」
その言葉と同時に、私の視界は黒に染まった。
必死に私の名前を呼ぶ焔の声が、どこか遠くに聞こえた。
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