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騒ぎを聞きつけたのか、プラターヌ博士とナナカマド博士が近付いてきた。
「みんな、どうしたのかね?」
「あ、博士!」
「ちょっと助けてください!」
「おや? 緑炎がフユカさんに抱き付いているなんて珍しいね」
プラターヌ博士は"微笑ましい"って言ってるけど、私たちにとってはそれどころの話じゃない。
事情を簡単に説明すると、ナナカマド博士は緑炎の紙コップを手に取った。
「ふむ。つまり、このコップに入った飲み物を飲んだ結果こうなったということかね?」
「「はい」」
ナナカマド博士はコップの中のドリンクを少し飲むと、眉をひそめた。
「これは……酒のようだな」
「「やっぱり!」」
お酒ってことは、緑炎と誠士君は酔っ払ってるんだ!
「でも、何で緑炎がお酒なんて……?」
「おそらく水の入ったコップと間違えたのだろう。
清酒は見ただけでは水と区別がつかんからな」
つまり、水のコップを持ってきたつもりが清酒の入ったコップを持ってきちゃったわけか。
「どうしましょう、プラターヌ博士? 流石にこんな状態の緑炎を飛行機に乗せるわけには……」
「それならうちの研究所に泊まると良い。空き部屋があるから使ってくれたまえ」
「すみません、ナナカマド博士。お世話になります」
「ウム! それでは少し早いが、研究所に戻るとしよう」
こうして、レイナたちとの花見は幕を閉じたのだった。
楽しかったけど、今までで1番心臓に悪い花見だったな……。
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