09


あれからしばらく歩き回って桜を堪能した後、焔君が待ちに待っていたランチタイムがやってきた。

誠士君と緑炎が作ったそれぞれのお弁当を広げ、今度はお弁当を堪能している。

みんなで楽しくお腹を満たしている最中、私はあることに気が付いた。

「あれ? 緑炎、眠いの?」

そう、緑炎の目がトローンとし始めていたのだ。

「……」

「珍しいですわね。緑炎がお昼から眠そうにしていることなんて滅多にありませんのに……」

「外があったかいからかなぁ?」

確かに今日は暖かいから、眠くなるのも分かる気がする。

でも、緑炎はいくら眠くても質問されればきちんと返してくれる。

今の緑炎は質問を投げかけても上の空だ。

「緑炎君、どうしたんだろうね?」

「さぁ……? ねぇ緑炎、本当にどうしたの?」



その時、事件は起きた。



急にのそりと私の後ろに座ったかと思うと、お腹に腕を回しておでこを肩に乗せてきたのだ。

「「「!?」」」

その場にいる全員が絶句する。

「りょ、緑炎!?」

白刃が驚愕の声を上げた。

その後緑炎を引っペがそうとしてくれたけど、剥がそうとすればするほど腕の力が強まって離れない。

「緑炎、姫を離せ!」

「んだよ、白刃。フユカはやらねぇぞ。
こいつは俺のだ」

なんつー恥ずかしいこと言ってくれてんの、こいつは!?

「ッ///!? 寝ぼけたことを言っていないで、早く姫を離せ!
腕力はお前の方が確実に上だ。このままでは姫の華奢なお体が折れてしまうぞ!」

「やなこった」

緑炎は一向に離れてくれない。

てか何なの、この状況!? メッチャ恥ずかしいわ!

「緑炎君、どうしちゃったんだろう?」

「考えられる原因といえば、これくらいだが……」

そう言った誠士君の手には、ある物が握られていた。


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