07
「緑炎、ちょっと良い?」
「……どうした? 大事な話じゃないなら後にしてくれねぇか?」
「雅と白刃から聞いたよ。具合悪いんだって?」
私はいきなり本題に入る。すると、緑炎はバツが悪そうに目線をそらした。
そのまま緑炎の額に手を近付ける。確かに熱い。
「……全くあいつらは。別に大したことねぇよ。
今までの疲れが溜まってるだけだから心配すんな」
「大したことあるでしょ。顔も赤いし、息も荒いし。
……何で黙ってたの?」
「何でって……心配かけたくねぇんだよ。そんくらい分かれ」
「分かれって……」
ソファーに座り、緑炎の腕をガッシリと掴んでまっすぐ目を見る。
「言ってくれなきゃ分かんないよ!
確かに具合が悪いって聞いたら心配するけど、何にも言ってくれない方がもっと心配するじゃん!」
「わーったわーった。……ったく、頭に響く」
「あ、ゴメン……」
いつの間にか語気が荒くなってたみたい。反省……。
「悪かったよ、何にも言わなくて。
ただ本当に……心配かけたくなかったんだ」
「うん、その気持ちは分かってる。
でもさ、悩んでる時や具合が悪い時くらい頼ってよ。
いつも心配かけてる分、アンタに何かあった時は心配させてよ。
緑炎から見たら私は頼りないかもしれないけど……。
緑炎は……私の大切なパートナーなんだからさ」
「……そうだな。
確かに頼りねぇが、こう見えて俺のトレーナーだもんな……」
「こう見えて、は余計だよ」
事実だけどさ!
心の中でそうツッコむと、ふと肩に重みが加わった。
そして背中には緑炎の腕。
え、ちょっと待って、この体勢……。
「りょ、緑炎……?」
「少しだけ、こうさせてくれ……。
しばらくしたら、少し休むからよ」
「う、うん……」
首筋に緑炎の髪が掛かってくすぐったい。
ちょっと恥ずかしいけど、初めて緑炎が頼ってくれた。
そのことが、今の私には本当に嬉しかった。
「(っていうか、緑炎……)」
「……zzZ」
「(寝てるしっ!)」
[*prev] [next#]
TOP