09


笑理を探している途中、地元のゴロツキたちが小さな女の子を無理矢理連れて行こうとしているという話を耳にした。

しかもその女の子は白髪で水色のカチューシャをした10歳くらいの女の子だということを聞いて、慌てて笑理を探している。

「さっきの女の人に場所聞いとくんだった!」

「最後にこんな走ったのいつだっけ!?
それにしても、騒動の被害者が笑理だったなんて……。
無事だと良いけど」

笑理は女の子。男性の腕力には勝てないはずだ。

しかも場所が分からない以上、しらみつぶしに探していくしかない。

そんな時だった。



「レイナ、助けて!」




「! 今の、笑理の声だ!」

「声の聞こえてきた方角からすると……きっとブルー広場に続く道にある路地裏だよ!」

フユカに続いて細い路地に入ると、笑理を人質に取っている2人の男がいた。

「いた! アンタたちでしょ、小さな女の子を誘拐しようとしてんのは!」

フユカの凄まじい剣幕に驚いたのか、男の腕が僅かに緩んだ。

笑理はその隙に抜け出すことに成功する。

「笑理、大丈夫!? 怪我は無い!?」

「レイナー! 怖かったよぉ!」

笑理が私の胸に飛び込んでくる。

良かった。どこにも怪我は無いみたい。

「レイナ! 騒ぎを聞いてきたのか?」

「誠士、来てくれてたんだ!
……って、その人誰?」

誠士の隣には、緑色の髪をした男性が立っている。

しかも背が高いしイケメンだ!

「緑炎!? 何でここに……。
デパートに買い物に行くんじゃなかったの?」

え? 緑炎ってたしか……フユカのパートナーじゃなかったっけ?

何で誠士と一緒にいるの?

「フユカ!? カフェにいろって言っただろうが!」

「友達助けるのは当然でしょ!
てか、もうミアレシティで迷子になったりしないし!」

「レイナ、それとフユカさん。詳しい話は後だ。
まずこの場を何とかしなくては」

誠士と緑炎さんの前には、シンオウじゃ見たことのないポケモンが2匹。

トレーナーも2人ってことは、タッグバトルか。

「フユカ! いきなりで悪いけど、タッグ組んでくれない?
可愛い笑理に怖い思いをさせたこいつらに、たっぷりお灸を据えてやらなきゃ気がすまない!」

「もちろん! いくよ緑炎!」

「あぁ!」

誠士と緑炎さんが同時に擬人化を解く。

緑炎さんってジュプトルだったんだ。

「あ、フユカ。バトルの前にあの2匹のこと、分かる範囲で教えてくれない?」

「うん。あの2匹はゴロンダとオーロット。
パンダみたいな方がゴロンダで、悪・格闘タイプ。
で、木のお化けみたいな方がオーロットで、草・ゴーストタイプだよ」

「了解、ありがと!」

さぁ、あいつらにたっぷり灸を据えてやらないとね。

笑理を怖がらせた罪は重いんだから!


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