07
あれから緑炎と話し込んでしまい、気付いた時にはあと15分ほどで待ち合わせ時間になるという時間だった。
「っと、つい話し込んじまったな。
お前、連れと待ち合わせしてるんだろ? 待ち合わせ場所とかあるなら案内するぜ」
「ありがたい。
プリズムタワーのある広場で待ち合わせをすることになっている。
土地勘が無いからどうしようかと思っていたところだ」
「まぁ、プリズムタワーに行くのに迷子になる方が珍しいけどな。
タワーは街の中心にあるから、よほどの方向音痴じゃなきゃ迷いはしねぇよ」
コーヒーの会計を済ませ、プリズムタワーへと行くために席を立った時だった。
何やら、やけに騒がしい。
「何の騒ぎだ?」
「大方、地元のゴロツキだろ。
時々こうやって騒ぎを起こしては、ジュンサーさんに補導されてんだ。
懲りねぇ奴らだぜ」
周りではミアレシティの住民たちが話をしている。
「ねぇ聞いた?
またあいつらが騒動起こしたんだって。迷惑な話だわ」
「いつも女の子ナンパして振られてるのに、懲りないわよね」
「しかも、今回は10歳くらいの女の子相手だって話だよ。
あたしもチラッと見たけど、この辺じゃ見かけない子だったから他の街から来たのかも」
(この辺じゃ見かけない……?)
ふと、笑理の顔が頭をよぎった。
「すまない、緑炎。少し時間をもらっても良いか?」
「良いぜ。俺も急ぎの用ってわけじゃないしな」
「ありがとう」
どうか杞憂であって欲しいが……。
胸の内に一抹の不安を抱えながら、話をしていた女性に声をかける。
「あの、今の話……詳しく聞かせてもらえませんか?
その女の子の特徴を教えていただきたいのですが……」
「え? 良いけど……。
えっと……白い髪で、水色のカチューシャをしていたわ」
「……!」
笑理だ……。
杞憂であってほしいという願いはもろくも崩れ去った。
「誠士、その白髪の女の子がどうかしたのか?」
「緑炎、力を貸してくれないか!?」
「お、おい落ち着け! どうしたんだよ?」
「あの騒動に私の連れが巻き込まれている!」
「は!?」
早く助けに行かなければ、笑理が危ない。
「おいアンタ! その女の子をどこで見た!?」
「エテアベニューがあるでしょ?
あの道をサウスサイドストリート側から入って右にある路地よ」
「エテアベニューだったらこの近くだ!
行くぞ、誠士!」
「あぁ! ご婦人、ありがとうございます」
女性に礼を言い、緑炎と一緒に走り出す。
笑理……無事でいてくれ!
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