02
「デケェため息だな」
背後から聞こえてきた声に振り向くと、そこには両手に買い物袋を提げた緋色が立っていた。
その後ろには木の実の入った袋を抱えたメイもいる。
「緋色、戻ってたのか」
「おぅ、ついさっきな」
「お兄ちゃんただいまー!
メイ、ちゃんとお使いできたよ。偉い?」
「メイもお帰り。ちゃんと頼んでた物を買ってきてくれたんだな、偉いぞ」
妹の頭を優しく撫でてやると嬉しそうに笑う。
"笑理たちと遊んでくる!"と言ってパタパタと走っていった。
「んで、どうしたよ。朝からずっとそんな調子じゃねぇか」
「……!
あぁ、いや……大したことじゃない。大丈夫だ」
何とか笑って誤魔化し、部屋を出ようとする。
しかし緋色とすれ違った瞬間、僕の腕はガッシリと掴まれた。
「なぁ、ナオト。あんま俺を見くびるんじゃねぇ。
俺はお前の最初のポケモンで、それこそストライクだった頃から一緒にいんだよ。
お前が悩んでることに気付かねぇほど、俺の目は節穴じゃねぇぞ」
緋色の金色の目が、真っ直ぐ僕の目を射抜く。
僕が降参の意味を込めて両手を上げると、彼はニッと口角を上げた。
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