05
続いて2戦目。お兄ちゃんが無言で繰り出してきたのはレントラーだった。
サンダースほどじゃないけど、レントラーもレントラーで足が速い。
接近戦に持ち込んで一気に攻める!
「誠士、走って撹乱して!」
私の指示を受けた誠士が、持ち前のスピードで縦横無尽に駆け回る。
レントラーも彼の素早さに目が追いついてないみたいだった。
「今だよ誠士、ドラゴンクロー!」
「……かわして噛み砕く」
レントラーを狙って振り下ろされたドラゴンクローが外れ、フィールドに深く突き刺さる。
身動きの取れなくなった誠士のしっぽにレントラーが噛み付き、そのまま氷のキバを受けて倒されてしまった。
(サンダース戦でダメージを負ってたとはいえ誠士を倒すなんて、やっぱりお兄ちゃんは強い……)
生半可な気持ちでやってるつもりはこれっぽっちも無いけど、もう1度気を引き締めないと。
"この程度"だなんて思われたくはない!
「私に力を貸して。勇人、レッツゴー!」
私が2番手に繰り出したのは勇人。
最初は地面技を覚えてる焔に出てもらおうかとも思ったんだけど、本人の強い希望もあって出てもらうことにしたんだ。
今思えばバトル狂の彼が、シンオウ最強のジムリーダーとバトルするチャンスを逃すわけが無かった。
『誠士の仇は俺が取ってやるよ。レイナ、指示は任せたぜ!』
「うん! 行くよ勇人、思念の頭突き!」
『おぅ!』
頭部を青白く光らせて飛び込んで行った勇人をかわし、レントラーはすかさずそこに噛み付いた。
"噛み砕く"は悪タイプの技……なるほど、上手く弱点を突いた訳ね。
「それならこれはどう!? 勇人、逆鱗!」
『よっしゃ、思いっ切り暴れて良いんだな!?』
「設備を壊さないでね!」
『ハハッ! ったく無茶苦茶言ってくれるぜ、俺のトレーナーはよ!』
そう言って笑うと同時に、勇人の目が赤く光る。
激情のままに暴れ回るその姿は正しく……"荒れ狂う竜"そのものだった。
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