03
自動ドアを通り過ぎた私たちを出迎えたのは、オーバさんとライチュウだった。
「よく来たな、2人とも。時間もピッタリだ」
『わーい、レイナ〜!』
もはやお決まりのように私に向かって飛びつこうとしたライチュウを、オーバさんが軽々と捕まえた。
ライチュウは"あーん、離してよオーバぁ!"って手足をパタパタさせている。
「ライチュウ、それはバトルの後に取っとこうぜ。
……にしても、随分とアイツのライチュウに好かれてるんだな」
「特別何かした覚えは無いんですけど……。というか、誰に対してもこうだったような……?」
『まさか! 頬擦りするのはレイナにだけだよ!』
(そ、そうなんだ……?)
確かに彼がピチューだった頃からよく頬擦りはされてたし、時々詰んできた花をくれたりしてたけど……。
って、今はその話は置いとかなくちゃね。私はここにお喋りしに来たんじゃないんだから。
「オーバさん、デンジお兄ちゃんは?」
「アイツならバトルフィールドで待ってる。
頼むぜレイナ、燃えるようなバトルを期待してるからさ!」
オーバさんはそう言うと、ライチュウとナオトを連れて観客席へと向かった。
「……来たか」
「うん、来たよ」
今まで色んなジムリーダーと戦ってきたけど、その中でも1番空気がビリビリしてる。
ダルッとした顔してるのに、それでも強者のオーラが滲み出てるのは……流石シンオウ最強のジムリーダーってとこかな。
でも、今更尻込みなんてしてられない。
このバトルを申し込んだのは私。自分で啖呵を切ったんだから、最後まで気を抜かずに行かなきゃ。
「面倒だから、3VS3の勝ち抜き戦で良いな?」
「うん。……お兄ちゃん、最初に言っておくね。
私は今、"幼馴染"としてじゃなくて"チャレンジャー"としてここに立ってる。
つまらないバトルだからって手加減なんかしたら許さないから」
「……分かった。そこまで言うなら加減は無しだ。
簡単に負けてくれるなよ?」
審判ロボットのコールが響き渡る。
戦いの火蓋が……切って落とされた。
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