05
「烈、夕飯作る準備……何してんだお前ら?」
ゲッ……。この状況を1番見られたくない相手が来ちゃったよ……。
烈と私の顔を交互に見ながら、緑炎が訝しげに眉をひそめる。
っていうかみんなダンス止めてるから、余計目立っちゃってるんじゃないのこの体勢!?
「こ、これは……その……」
「白刃がコイツと踊れねぇって言うから仕方なくな。
んじゃま、俺は飯作りに行ってくるわ」
「わ、私は配膳を手伝おうかな!?」
右手をヒラヒラと振りながら部屋を出ていく烈の後ろを慌てて追いかける。
テーブルに置かれたままのDVDのパッケージ。
緑炎がジッとそれを見つめていたことを、この時の私は知らなかった。
あれから私たちは何事も無かったように夕飯を食べて、今は全員が寝るための準備を始めている。
私もドライヤーで髪を乾かし、ネグリジェに着替えて部屋を出ようとドアノブに手をかけた。
「あらフユカ、どちらへ?」
「あー、うん。ちょっとお散歩」
「こんな時間に1人で出歩くなんて危ないわ! 私も一緒に行くから、少し待ってちょうだい」
「大丈夫だよ。散歩って言っても研究所の庭だから」
天気予報で1日中天気が良いと言っていたのもあって、今日は綺麗な満月が浮かんでいる。
みんなで月を見るのも良いけど、今日は何故か1人で静かに見たい気分なんだよね。
行き先が庭だと分かった水姉さんもひとまず安心したのか、"遅くならない内に戻ってくるのよ"と言って見送ってくれた。
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