04
水姉さんに半ば強引に引き摺られていく龍矢を苦笑いで見送る。
ふと誰かが隣に立った気配がしてそちらを見ると、何故か顔を真っ赤にした白刃がいた。
「ど、どうしたの白刃!? 顔真っ赤だよ!?」
「いえ、ご心配には及びません! では……お手をどうぞ、姫」
少し気恥ずかしくも思いながら、恭しく差し出された白刃の手を取る。
でも白刃はそのまま硬直してしまって動かない。顔も依然赤いままだ。
「お、おい……どうしたよ?」
「やはり……やはり私にはできません!
こうして姫の御手に触れることですら恐れ多いというのに、あ……あのように体を密着させるなど!
あぁ姫、あなたの望みを叶えられぬ私をどうかお許しください……!」
「………………は?」
「あ、あぁ……うん。大丈夫ダヨ?」
踊りたかったわけじゃないし、みんなが楽しければ良いんじゃないかな。
というか、白刃は私のことを神聖視しすぎだと思うなぁ……。ここまで困惑してる烈を初めて見たもんね。
「……ハァ、しゃぁねぇな」
「烈? えっ、ちょっと待っ……!」
烈に腕を引かれて、ダンスの輪に入っていく。
他のみんなもまさか烈がワルツを踊るなんて思ってもみなかったようで、目を丸くして私たちを見ている。
「もうちっと体の力を抜け。その方が踊りやすいだろ」
「そ、そうは言っても……わわっ!?」
体も密着してるし顔も近いから、力を抜けと言われても緊張で動きがガチガチになってしまう。
どう動いたら良いのかも分からないまま踊っていたせいで、思い切り烈の足を踏んでしまった。
「ごごごごめん! 今足踏んじゃったよね!?」
「落ち着け。足踏まれたくらい、バトルん時に比べりゃかすり傷にもならねぇよ」
履いてるのがスニーカーでホント良かったよ。
とりあえず恥ずかしいから、みんなしてジーッと見ないで欲しい……。
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