03
「……で、何でこうなるんだよ」
「ごめん、烈。それ私も聞きたい……」
広い部屋に移動してすぐに踊り始めたアレックスさんと彩を見ながら、私と烈がそれぞれポツリと零す。
彩はともかく、何故私まで(というかあの場にいた全員が)ワルツを踊ることになったのか……。
白刃と龍矢はダンスのシーンを見てから合流すると言って、リフレシングルームに残っている。
「あら、上手に踊れてるじゃない2人とも」
「踊りは得意じゃないんだが……」
「エヘへ、アレックスとダンス……夢みたい!」
確かに、2人とも上手だな。
彩はさっきダンスのシーンを見たばかりだし、アレックスさんも器用な人だから動きにムダがない気がする。
……身長差があるから少し踊りにくそうだけど。
「よーし、お待たせ! それじゃ早速……お手をどうぞ、レdあいたっ!?」
「龍矢、あなたは私と踊りましょうか」
龍矢が私に向かって差し出した手をすごい勢いで叩き落とした水姉さん。
「俺の本命はフユカちゃんだけど、美女直々のご指名とあっては断れないねぇ」
「何を言ってるの。
あなたがフユカと踊るのを、私が黙って許すとでも思っているのかしら?」
「アッ、ハイ。ゴメンナサイ。
……でもさ、少しくらい俺も夢見たってあだだだだ!」
「良・い・か・ら!
私のことも満足にリードできないなら、あの子と踊るなんて数千年早いと思いなさい?」
表情と圧が比例してないよ、水姉さん!
あの細くて綺麗な手のどこにそんな力があるの!?
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