02
テレビの画面に流れるスタッフロールを眺める。
ラストシーンの感動の余韻に浸りながら、私はホゥ……と息をついた。
「やっぱり最高だなぁ、カルネさん……」
「えぇ、私もすっかり見入ってしまって」
「とっても面白かった!」
「シナリオもだけど、役者の演技も素晴らしかったわね。
カルネさん……多くの人を魅了するのも納得だわ」
王女と騎士の身分違いの恋を描いた作品だったこともあって、最後に結ばれたシーンは本当に感動したなぁ。
「ダンスのシーンも、とっても綺麗だったね!
彩もあんな風にダンスしてみたいなぁ」
ヒロインの王位継承のダンスパーティーのシーンを思い出したんだろう。彩がうっとりした顔でそう零す。
彩が踊りたい相手は、もしかしなくてもアレックスさんかな?
「何の話をしているんだい?」
「あらアレックス、お帰りなさい」
晩御飯の買い出しから戻ってきたアレックスさんたちが、リフレシングルームに入ってくる。
「お帰りアレックス! ねぇねぇ、彩とダンスして!」
「え、ダンスって……どうしたんだ急に?」
「先程見た映画にダンスのシーンがありましたの。
彩はすっかりそのシーンを気に入ったようで」
「あのシーン、華やかで素敵だったもんね」
雅の言葉を聞いたアレックスさんが"あぁ、なるほど"と返す。
その隣では烈と白刃がDVDのパッケージを見ていた。
「女ってホントこういうの好きだよな」
「ロマンチックなシーンというのは、女性の憧れだと聞くからな。
ということですので姫、後ほど私と踊ってくださいませんか?」
「何で!?」
容姿の整った顔で微笑みながら、白刃が手を差し出してくる。
今の烈との話で踊る流れあった!?
「ダンスなんて無理だよ! 私踊ったことないし!」
「ご心配なく。姫の望みを叶えて差し上げることこそ我が至上の喜び。
完璧なリードをお約束しましょう!」
リフレシングルームでは狭いということで、全員が場所を移動する。
そこで何故かプチ舞踏会(の真似)が始まったのだった。
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