01
「フユカ、雅、一緒に映画を見ない?」
自分に宛てがわれた部屋で雅と雑談をしていたところへ、水姉さんと彩が現れた。
その手にはさっきの言葉の通り、1枚のDVDがある。
「映画、ですか?」
「えぇ、アレックスが自由時間をくれたの。
お喋りするのも楽しいけど、たまには映画鑑賞でもどうかしら?」
「映画かぁ……。良いね、せっかくだしお言葉に甘えようかな」
「やったぁ! じゃあ彩、ジュース貰ってくる!」
彩がパタパタと足音をさせながら階段を降りていく。
歳の頃は悠冬とそう変わらないっぽいけど、あの子はあの子でまた違った可愛さがあるよね。あー、眼福。
「それじゃあ、私たちも準備をしましょうか」
「どのような映画を見るのですか?」
「カルネさんが主演のラブロマンスよ。
フユカが彼女の大ファンだって博士から聞いて借りてきたの」
「カルネさんの!? ありがとう、水姉さん!」
雅と一緒にカルネさんの映画を見てからというもの、すっかり彼女のファンになっていた私。
機会があれば他の作品も見てみたいなーとは思っていたけど、まさかこんなに早くその機会が巡ってくるとは嬉しい誤算だね!
前に見た"アズール湾の恋物語"は、アズール湾で出会った2人の男女のラブロマンスだった。
夢を叶えて留学から帰ってきた主人公を、カルネさん演じるヒロインが涙ながらに出迎えるシーンは私もつい貰い泣きしちゃったっけ。
水姉さんに頼んでDVDのパッケージを見せてもらう。
そこにはドレスを着たカルネさんと、銀の鎧を身に付けた俳優さんが写っていた。
"王女と騎士の宮廷ラブロマンス"かぁ……。これも面白そう!
飲み物とお菓子を取りに行った彩も合流して、私たち4人はリフレシングルームに向かった。
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