03
レイナたちと別れて、大きな通りを1人歩く。
今まで洞窟暮らしで外の世界に触れることが少なかったせいか、見るもの聞くもの全てが新鮮に感じる。
シンオウとは違って、洒落た雰囲気の街だ。
(……特にこれといって、することを決めてなかったな。
知人への土産はレイナが選ぶと言って張り切っていたし……夕飯の買い出しにでも行くか)
ちょうどすぐ近くに大きなデパートを見つけ、そこに入ることにした。
なかなか大きなお店なだけに、色んなものが揃っている。
今日の夕飯は……イタリアンに挑戦してみるか……。
そう思い、1袋だけ残っていたバジルを手に取ろうとした。
「「あ」」
突如左側から手が伸びてきた。
目線を向けると、緑の髪を持った男がバジルを手に取ろうとしていた。
「あ、すみません。どうぞ」
「あ、あぁ。悪いな、横取りするような真似して。
お前も買おうとしてたんだろ?」
「構いません。他の店に行ってみることにします」
「……なぁ。この後、時間あるか?」
男の質問に頷く。
集合時間まではだいぶあるから、少しくらい立ち話しても大丈夫だろう。
「この近くに俺の気に入ってるカフェがある。
バジル譲ってくれた礼に、そこで奢らせてくれ。
ここで会ったのも何かの縁だし、"ポケモン同士"仲良くしようぜ」
「……!」
ポケモン同士……?
この男は初対面の私をポケモンだと見抜いたというのか?
しかも"同士"ということは、彼もポケモンなのだろうか?
「……あなたもポケモンなんですか?」
「あぁ。そういや、挨拶がまだだったな。
俺は緑炎、種族はジュプトルだ。お前は?」
「私は誠士。種族はフカマルです。
よろしくお願いします、緑炎さん」
「呼び捨てとタメ口で構わないぜ。俺の連れはみんなそうだ」
私はこのカロス地方で、新たな知人を得た。
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