07


灯台を離れ、ナギサシティの隠れスポットだという浜に案内される。

デンジお兄ちゃんは灯台に戻ろうとしたけど、オーバさんが半ば強引に引き摺ってきた。

話したいことは山ほどあるけど、まずは目前の問題を片付けないといけないよね。

「……オーバさんから話は聞いたよ。最近ジムリーダーの仕事をほっぽり出してるんだって?」

「別にほっぽり出してるつもりはない。ただ、つまらないんだよ」

「つまらない?」

「確かに、俺と戦えるトレーナーもたまにいる。
けど、みんなつまらないというか……手応えが無いんだよ」

ふぅ……と小さく息をつきながらそう言った彼に、私は憤りを感じた。

"おい、デンジ"と窘めるオーバさんの声が聞こえた気がしたけど、私の中でフツフツと怒りが込み上げてくる。

「"つまらない"なんて……何でそんなこと言うの!? 」

突然大声を上げた私に驚いた3人の視線が私に刺さる。

ナオトが私を落ち着かせようとしてきたけど、今はそんな場合じゃなかった。

「デンジお兄ちゃんだって、ジムリーダーの前に1人のトレーナーなんじゃないの!?
ポケモンと一緒にシンオウを旅して回ったなら、ジムリーダーに全力で挑むチャレンジャーの気持ちが分かるでしょ!?
ピンチになっても、1%でも勝てる希望があるならそこに向かってがむしゃらに手を伸ばす。
そのひたむきさに目を向けられないで何がジムリーダーなの!
それが分からないなんて……私が憧れたデンジお兄ちゃんじゃない!」

言えば言うほど、今の彼の体たらくが悲しくて涙が出そうになった。

何とかして喝を入れて、立ち直ってもらわなくちゃ困る。

だったら私が取るべき方法は1つだ。


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