04
みんながそそくさと別行動してしまったので、私はナオトと並んで街を歩く。
組むように繋がれた手で……いわゆる"恋人繋ぎ"で歩く私たちを、明るい太陽の光が照らしている。
時々"あらあら"とか"初々しいわねぇ"とか聞こえるのは、気のせいだと思いたい。
「どうだい、レイナ? どこか気になる場所があったら、そこに行っても良いよ」
ナオトにそう聞かれて、私は改めて街並みを見回す。
すると街の端の方に大きな灯台が立っているのが見えた。
「んー……。やっぱり、あの灯台に行ってみたいかな」
"しるべの灯台"と呼ばれるそこは、街の観光スポットになっているらしかった。
加えて、ナギサシティを連想して1番最初に思い浮かんだ場所だ。
あそこに行けば、色々と思い出せるかもしれない。
波の音を聞きながら灯台を目指していると、どこかで見た事のある人影が見えた。
「あれ、あの人……」
「レイナ?」
がに股で歩いていたその人は、私たちとすれ違う直前で足を止めた。
「お? よぅ、また会ったな」
「オーバさん!」
あの特徴的なアフロヘアーを忘れるわけがない。
シンオウ地方・ポケモンリーグの四天王の1人。オーバさんその人だった。
「レイナ。オーバさんって、あの?」
「そう、シンオウの四天王だよ。
前に彼のゴウカザルが、焔にトレーニングをつけてくれたことがあって」
ナオトが少し緊張した面持ちで簡単に自己紹介をすると、オーバさんはニカッと笑いながら"よろしくな"と握手を交わした。
「まさか帰省したその日に、君と会うとは思わなかったなぁ。
モウカザルは元気にしてるか?」
「はい、今は進化してゴウカザルになってます。
オーバさん、ナギサシティの出身なんですか?」
「あぁ。今日はリーグが休みなんで、久しぶりに帰ってきたってわけさ。
そしたらつい最近まで街中が停電してたって言うから、この街のジムリーダーをド突きに行ったんだよ」
ナオトと2人で顔を見合わせる。
街の停電と、ジムリーダーがどう関係があるんだろう?
「どういうことですか?」
「停電の原因がな、この街のジムリーダーがジムを改造しまくったせいだったのさ。
ったく、最近手強いチャレンジャーが来ねぇからって……。
バッチバチに熱いバトルしてたアイツはどこ行ったんだよ」
オーバさんの話を聞く限り、この街のジムリーダーは電気タイプの使い手ってことなのかな?
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