03


ナギサシティに到着した私たちは、ポケモンセンターで宿を取る。

ひとまず今日は、残りの時間を自由時間に使うことになった。

「わぁ、何があるのか楽しみ! ねぇねぇレイナ、一緒に見て回ろうよ!」

「笑理、今日は私たちと散策しようね」

「えぇ、何で? みんなで色々見たかったのにぃ」

「気持ちは分かるが我慢してくれ。
マスターと奥様にとっては、久しぶりに羽を伸ばせる機会だからな」

「そうだよ笑理。今日くらい、2人の時間を作ってあげようよ」

「はぁい……」

ちょっと待った、今聞き慣れない単語が聞こえた気がしたぞ?

「青刃……今の"奥様"って、もしかして私のことじゃないよね?」

「? 紛れもなく貴女のことですが……それが何か?」

「ちょっと気が早くないかなぁ!?」

私たちは"婚約"しただけであって、まだ"結婚"したわけじゃないんだよ。

いずれそうするとはいえ、今からその呼び方は心臓に悪い。

「何を仰います。貴女はマスターと番う女性。
ならば私が"奥様"とお呼びするのは、至極当然でしょう」

あの目は本気だな……。たぶん改めるように頼んでも聞かないパターンだ。

「諦めた方が良いぜ、レイナ。青刃が意外と頑固なのは知ってるだろ?」

「うぅっ……」

それはそうだけど、せめて挙式した後からにして欲しかった……。


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