05
「ねぇ、そこの彼女! 今、時間ある?」
「これから俺らと食事にでも行かない?」
「君、可愛いから奢っちゃうよ」
電話でジム戦の予約を入れた後、ポケモンセンターを出てサンヨウジムに向かっている途中で男性3人に絡まれた。
他の人間と……しかも(翠姫のことを考えれば)男3人に囲まれるなんて冗談じゃない。
無視を決め込んで素通りするけど、彼らはしつこく後をついてくる。
「ねぇ、無視しないでよ。ちょっと遊ぶくらい良いじゃん」
「……私がアンタたちに興味が無いの、見て分からないわけ?
アンタたちの遊びに付き合う時間も義理も無い」
「はぁ? お前がつまんなそうな顔で歩いてるから、俺らが"遊んでやる"って言ってんの」
「そんなこと頼んでないし、余計な世話だよ。アンタたちだけでやってれば?」
「この……調子に乗りやがって!」
「ッ! ちょっと、触らないで!」
3人組の中の1人が私の腕を掴んだ。
(……! 翠姫、今は出てきちゃダメ!)
翠姫のモンスターボールがガタガタと揺れ始めている。
この子が外に出る前に何とか抜け出さないと……!
でも男女の差がある以上、相手の方が力は強い。
為す術もないまま、ズルズルと引き摺られかけた時だった。
突如横から伸びてきた腕が、男性の腕を掴む。
「おい、待てよ」
相手を牽制するような、しかし決して威圧する訳ではない声が隣で響いた。
私と3人組の視線が、その人物に集まる。
男性の腕を掴んでいたのは、赤い髪をしたウェイターだった。
「なっ、何だよお前!」
「その手を離せよ。明らかに嫌がってるだろ」
「お前には関係ねぇだろ! 俺らはコイツに用があんだよ!」
「へぇ? ……よし、じゃあこうしようぜ。
お前らがバトルで俺に勝ったら、何も見なかったことにしてやるよ。
このポッド様に勝てるならな!」
自分のことを"ポッド"と名乗った男性は、3人組に対して挑戦的な笑みを向ける。
それと同時に、少し離れた場所から別の男性の声が聞こえてきた。
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