04

(これで落ち着いて勉強できる……)

窓側の1番端の席に座り、ノートを開く。

隣に座った翠姫がキョロキョロと辺りを見回していた。

「ハルよ、ここで何をするのじゃ?」

「ポケモンのことを勉強するんだよ。
他にどんなタイプの子がいるか、気になるし」

「むぅ。勤勉なのは良い事じゃが、わらわはまだまだ話し足りぬぞ!」

「翠姫、ここは勉強する場所だから静かにね」

"悪目立ちはしたくないし"と心の中で呟く。

翠姫は勉強が終わるまで静かにしていると約束してくれたものの、少し不服そうにプクゥと頬を膨らませた。

まるで拗ねた子どものようで、思わず苦笑いする。

見た目は人間の姿なのに、ポケモンだと思えば親しみが湧くから不思議なものだ。

紫闇も意外に静かな環境だからなのか、モンスターボールの中で眠るように目を閉じている。

(仮に寝てるとしても、半分起きてそうだけど……)

紫闇はとにかく寝起きが良い。今朝もできるだけ音を殺して動いたのに、その微かな音にすら反応して起きてきた。

"人間から狙われ続けた"という経験上、いつ捕まるか分からない状況下では"ゆっくりと眠る"なんてできなかっただろう。

彼が本当に眠っているのかどうかは分からないけれど……今のこの時間で少しでも疲れが取れるなら、それに越したことはない。

(……さて)

本棚から取ってきた本を開いて、サラサラとシャープペンシルを走らせていく。

内容を見るにポケモンのタイプの種類や、その相性が書かれているようだった。

(へぇ、ポケモンのタイプって17種類もあるんだ……)

ちゃんと覚えられるんだろうかと、少し不安が過ぎる。

とはいえまだトレーナーとしては新人なのだ。少しずつでも覚えていけば良いかな。

数の多さに驚きながらも、ひとまずそれぞれのタイプに有利・不利なタイプを書き出していった。

(草タイプは水タイプに、炎タイプは草タイプに。そして水タイプは炎タイプに有利……と)

なるほど。この3つのタイプに関しては、三すくみの力関係になってるのか。

色んなタイプ相性の有利・不利をノートにまとめながら次のページをめくる。

そこに書かれている内容を見て、思わず目を見開いた。

(……! 2つのタイプを持ってる子もいるの?
ポケモンって、奥が深いんだな……)

そのまま私はすっかり熱中してしまい、時間が経つのも忘れて机にかじり付いた。

気が付いた時には部屋が夕日色に染まり、翠姫が拗ねた顔で本のページを爪弾いていたのだった。


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