03
フレンドリーショップでノートと筆記用具を買い、トレーナーズスクールの門をくぐる。
たくさんの子どもが勉強しているのを横目に見ながら、足早に本棚へと向かった。
「ポケモンのことを知るには……。そういえば、翠姫は草タイプなんだよね?」
「うむ!」
「それから、紫闇が悪タイプ」
『いきなり何だ』
「となると、他にもポケモンのタイプってあるのかな?」
Nのチョロネコも"俺は悪タイプだ"って言ってたしね。
翠姫が隣で小首を傾げ、"そういえば"と何かを思い出したように口を開いた。
「わらわと同じ時期に研究所にいたポケモンが、それぞれ違うタイプであったな。
確か……炎タイプのポカブに、水タイプのミジュマルと言ったか」
水は良いが炎は好かぬ、と少しむくれる翠姫に苦笑いをこぼす。
炎タイプに、水タイプ……。やっぱりポケモンって色んなタイプがあるんだ。
ふと視線を戻した先で、"ポケモンのタイプ分類"と書かれた本を見付けた。
その本を手に取ると同時に、誰かに"こんにちは"と声を掛けられる。
ため息を吐きたい気持ちを何とか押さえつけながらそちらを見ると、メガネを掛けた女の人が笑って立っていた。
「初めて見る方ね。新人トレーナーさんかしら?」
「……そうですけど、それが何か」
「本を探しているみたいだったから、何かお手伝いをと思ったんだけど……余計なお世話だったわね」
「はぁ……」
「もし良ければ、あっちでみんなと一緒にどう?」
その人の手が向けられた方を見ると、何人かの子どもが机を囲んで話をしているのが見える。
例え年下相手だったとしても、あの輪の中に入っていくのはゴメンだった。
「結構です。静かに勉強したいので」
「そう……。邪魔してしまってゴメンなさいね」
"分からないことがあったら何でも聞いてちょうだい"と言いながら、少し寂しそうな顔で笑う。
その人は"せんせー!"と呼ぶ子どもの声の方に歩いていった。
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