04
紫闇と翠姫を交互に宥めながら何とか食事を終え、食堂を後にする。
1度宿泊部屋に戻って、今後の方針を決めることにした。
「……で、これから私たちはどうしていこうか?」
『どうでも良いな。俺ら全員、行くあてなんて無い。
好きにすれば良いだろ』
『ハルはあまり気乗りせぬようじゃが、ポケモンジムとやらを巡って見るのも面白いではないか』
「ポケモンジム……」
翠姫の言う通り、確かに私はポケモンバトルそのものにあまり良い感情を持っていない。
トレーナーが指示を出し、ポケモンはそれに応えて戦う。
元の世界で子どもがカブトムシやクワガタムシを戦わせているのを見たことがあるけど。
それに近いような感覚がして、どうにも苦手に感じてしまうのだ。
「翠姫は、痛い思いをしながら戦うことが嫌じゃないの?
相手のポケモンだって、みんな女の子って訳じゃないだろうし……」
『案ずるでない。わらわが戦いに応じるのは、あくまでもトレーナーであるそなたのため。
それに……こちらから堂々と男どもをいたぶれるというのは、実に小気味良いというものじゃ』
「翠姫、そういう言い方はダメだよ」
とにかく、翠姫がポケモンバトルに否定的じゃないのはよく分かった。
でも、紫闇はどうなんだろう。単に人間嫌いなだけで、ポケモンのことは毛嫌いしないと思うけど。
「紫闇は、ポケモンバトルのことどう思う?」
『人間の考えるお遊びのことなんかを俺に聞くな。
俺にとって戦いってのは自分の身を守る手段でしかない』
「身を守る、か……」
紫闇のその言葉を聞いて、ふと彼を狙っていた密猟者を思い出す。
あの時の私はボロボロの紫闇を助けることしか頭に無くて、自分の身を守る術なんて持ち合わせていなかった。
そう考えると、ポケモンジムを巡って強くなることは合理的な話に思えてくる。
自衛する方法はあった方が良い。
「……うん、決めた。そのポケモンジムって場所を巡ってみようか。
もしかしたら新しいポケモンが加わってくれるかもしれないしね」
『好きにしろ』
『うむ、旅の目的が決まったな。ではさっそくサンヨウジムに向かおうぞ!』
「もう夜遅いし、今日はここで1泊しなきゃ。
それにトレーナーズスクール? で色々勉強しないと」
人の多いところは嫌いだけど、これからトレーナーとして活動していくためにも勉強は不可欠だ。
私は部屋に備え付けられたシャワールームでシャワーを浴びた後、ベッドに潜り込んで目を閉じた。
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