02
翠姫の希望だったのもあって、ポケモンセンターの食堂で食事をしに来た私たち。
ひとまずメニューを開いて何を食べるのかを決める。
「……私はシチューにしようかな。2人はどうする?」
『さっきも言ったろ。俺は腹に入りさえすれば何でも良い。
お前の方で適当に決めろ』
「何でも良い、ってある意味1番困るんだけどな……」
とりあえず紫闇の分は私と同じのを頼もう……。
そんなやり取りをしている私と紫闇の隣で、翠姫はメニューとにらめっこしながら悩んでるみたいだ。
小さくて可愛らしい手が、私の服の袖をチョイチョイと引っ張る。
『ハルよ、この"オムライス"とはどのような食べ物じゃ?』
「ケチャップで味付けしたご飯を、卵で包んだ料理だよ」
『ふむ……。
オムライスとやらも気になるが、ハルの言ったシチューとやらも捨て難い……』
「ひとまずオムライスを頼んでみたらどうかな?
シチューは私の分を分けてあげるから」
『まことか!? ……いやしかし、それではそなたの取り分が減ってしまうではないか』
「大丈夫だよ。もともとそんなにたくさん食べられないし」
でも翠姫は難しい顔をしたまま、さっきよりも頭を悩ませている。
私は小さく息をついて、彼女にこう提案した。
「じゃあこうしようか。
私はシチュー、翠姫はオムライスを頼んで半分こするの。
それなら分量は同じだし、オムライスとシチューを両方食べられるでしょ?」
『ふむ、確かに……。であればそうするとしよう。
そなたはまこと聡明よな。さすがわらわの見込んだトレーナーじゃ!』
『何でお前が得意気なんだよ。
……つかその様子だと、よっぽど箱入り娘で育ったな』
『貴様はいちいち一言余計よな、ひねくれ化け狐!』
「翠姫、お願いだから静かに……!」
翠姫はともかく、私と紫闇はただでさえ目立つ。
そこに大声が加われば周りの視線を集めること間違いなしだ。
現に彼女の声を聞きつけたであろうウェイトレスが、"お決まりですか?"と声を掛けてくる。
何とか翠姫を宥めながら、パパッと3人分の料理をオーダーした。
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