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『戻ったぞ、ハルよ!』

「うん、おかえり翠姫」



Nとポケモンバトルをした後、私たちはようやくポケモンセンターにたどり着いた。

バトルで体力を消費した翠姫を回復させるため、建物の管理者らしいジョーイさんという人に翠姫を預ける。

他人に自分のポケモンを預けるなんてしたくなかったけど、医療の知識の無い私では頼らざるを得ない。

これに関しては選り好みをしている場合ではなかった。

「お待たせいたしました。お預かりしたツタージャは元気になりましたよ」

「……どうも」

手押し式のカートに乗せられた翠姫が私の目の前まで運ばれてくる。

元気な顔になった翠姫の後ろに、私を見ている2つの瞳と視線が合った。

桃色の身体に、青い瞳。初めて見るポケモンで、ついジーッと見つめてしまう。

『あらまぁ、そんなに見つめられたら照れちゃうわ』

「……あ、ゴメン。ジロジロ見るつもりは無かったんだけど」

「あなた、タブンネを見るのは初めて?」

「まぁ……はい」

タブンネというらしいポケモンが、両手を頬に添えて恥ずかしそうに笑う。

聞けばこのポケモンセンターに限らず、イッシュ地方ではタブンネがジョーイさんのお手伝いをしているらしい。

他の地方ではラッキーやハピナス、プクリンといったポケモンたちが、タブンネと同様に人の仕事を手伝っているんだそうだ。

ジョーイさんが離れた隙を見計らって、タブンネにそれとなく聞いてみる。

「……仕事は、大変じゃない?」

『そうね。色んなポケモンたちが運ばれてくるから、目が回ってしまうくらい大変な時もあるわ。
でも元気になったポケモンたちが……それを迎えにきたトレーナーたちが笑顔になってくれるのがとても嬉しい。
だから私はこのお仕事が大好きなのよ』

ニッコリと笑いながら躊躇うことなくそう言うタブンネに、"そう……"と返す。

"自分が好きでやってるから"と言ってNと一緒に戦うことを選んだチョロネコと、"元気になった時の笑顔が好きだから"と傷付いたポケモンを癒すためにジョーイさんと一緒になって尽力するタブンネ。

形やいきさつは違えど、彼らは人間と関わることに何の抵抗も抱いていないみたいで。

この子たちは……自分の意思で人間の傍にいるの?


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