04


結果として、翠姫とチョロネコのバトルはこちらの勝ちで終わった。

Nがチョロネコに労いの言葉をかけ、モンスターボールに戻す。

得意げな顔をした翠姫が、てこてこと歩いてきた。

『フッフッフッ。
見ておったか、ハル? わらわの華々しい勝利を!』

「うん、ちゃんと見てたよ。
初めてのバトルで疲れたでしょ? ありがとうね、翠姫」

『当然であろう。わらわはハルが好きじゃからな。
これからずっと共にいるのじゃ。弱いままではいられまいよ』

「そんなことないけどな……」

今の翠姫のままでいてくれるのも、私にとっては嬉しいことだ。

もちろん翠姫自身が"成長したい"というなら、私もできることは協力するつもりではあるけれど。

そんな翠姫の発言を聞いたNが、目を見開いて翠姫を見る。

"まさか、そんなことを言うポケモンがいるのか?"と呟いたのも聞こえてきた。

『何じゃ、Nとやら。わらわの言ったことに不満でもあるのか?』

「いや、そんなことはないけれど……。
それよりハル、ツタージャをポケモンセンターに連れていくと良い。
今のバトルで体力を消耗しているはずだからね」

「……言われなくてもそのつもりだよ」

私の返事を聞いたNが、ホッとしたように少しだけ笑う。

そして私たちに背を向けて歩き出した。



「モンスターボールに閉じ込められている限り、ポケモンは完全にはなれない……。
ボクは"ポケモン"というトモダチのため、世界を変えねばならない……」



早口でボソボソと呟く声が聞こえてくる。

そんな彼が何故か気に掛かり、姿が見えなくなるまでその背中を見つめていた。


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