02
『何とも良き晴天ではないか。わらわとハルの旅立ちに相応しいというものじゃ』
「そうだね。雨が降ってるよりは良いかな」
1番道路と呼ばれるらしい道を歩く。
風に乗って桃色の花びらが舞い踊る中で、私と翠姫は手を繋いだ。
……いや。正確には手ではなく、手とツルだけれど。
『ところで、わらわたちはどこへ向かっておるのじゃ?
せっかくの旅、これからどうするのかも決めておかねばなるまい』
「とりあえずはこの先の……カラクサタウン? ってところに行こうかなって思ってる」
人のいるところは嫌だけど、寝床に関してはそうも言ってられないからね。
「でも、これからどうするのかは決めてなかったな……」
『おい、無計画か』
「ごめんって」
研究所を早く離れたいがために、そんなこと考えてる暇も無かったし。
そういえばあの博士、"ポケモンジム"がどうのって言ってたっけ……。
少しでも他のトレーナーと一緒にいたなら、翠姫が何か知ってるかな?
「ねぇ翠姫、ポケモンジムってどんな所か知ってる?」
『ふむ、そうさな……。
わらわはやったことが無いが、トレーナーがポケモンをバトルさせて己の力量を示す場所。
あの女学者はそう言っておったぞ?』
"バトル"ってことは、戦うってこと?
ポケモンにだけ傷を負わせて、自分はそれをただ見てるだけなんて。
「……」
『そんな暗い顔をするでない。
"トレーナーとポケモンはバトルを通じて一緒に成長していくものだ"、とも言っておった。
わらわとそなたであれば敗北などありえまい!』
『その自信はどこから来るんだ……』
すごいドヤ顔で胸を張る翠姫に対し、紫闇がボールの中でボソッと呟く。
彼らの経歴のこともあるのかもしれないけど、正反対な2人だな……。
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