02



「いらっしゃい!」



私たちを出迎えたのは、白衣を着た女の人だった。

「アララギって人、います?」

「アララギは私よ。ようこそ、私の研究所へ!
新人トレーナーさんかしら?」

「はぁ、まぁ……そうなります」

「ということは、初心者用のポケモンを受け取りに来たのね。
でもごめんなさい、あの3匹はついさっき旅立って……あら?」

アララギ博士の視線が、私の後ろにいる紫闇に向けられる。

この人だけじゃない。この場にいる研究員全員の視線が彼を見ていた。

「ゾロアーク……しかも色違いの個体じゃない!?
とても珍しいポケモンを連れているのね!」

興味津々といった様子のアララギ博士が紫闇に近付いていく。案の定、紫闇は激しく威嚇した。

やっぱりこうなったかとため息をつきたくなるのを抑えつつ、紫闇を背後に隠すように前へ出る。

「見世物ではありませんので止めてください」

「あ、ごめんなさい。ジロジロ見るつもりは無かったの。
……ゾロアークを連れているということは、ポケモンを貰いに来たわけでは無さそうね。
どんなご用件かしら?」

「モンスターボールを貰いに来ただけです。それさえ受け取ったらすぐ出て行きますから」

そう言うと、アララギ博士は"モンスターボールだけだなんてもったいないわ!"と慌てたように隣の部屋へと入っていった。

何でも良いけど、早くここを出たい。


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